一度だけ賞味したクリスマス・プディングのお味
皆様は、現在の英国のクリスマスの時期のお菓子、「クリスマス・プディング」を召し上がったことはおありでしょうか。
筆者は、まだ若くて無分別な年齢だったころに、某通販で頼んで海外から取り寄せたものを食したことがあります。
黒いプディングに洋酒の入ったバターをかけて食したのですが、何か固形のカルピスを思わせるお味だったのをはっきりと覚えております。
クリスマス・プディングの画像
クリスマス・プディングの歴史
このプディングは昔はお菓子ではなく、具だくさんの牛肉と干した果物が入った濃厚なスープ「プラム・ポタージュ」というクリスマス料理だったそうです。
清教徒革命が起こった時、お祭りのぜいたく品として禁じられた歴史もあったそうですが、その後復活し、牛肉の代わりに牛の脂とフルーツたっぷりの布に包んで蒸す甘いプディングとして発展したそうです。
尤も、もとをただせばクリスマスはキリスト様の誕生日ではなく、異教の冬至祭なので、真面目な清教徒が禁止した理由もわからないではありませんが、庶民の年に一度の楽しみを取り上げるのもどうかと思います。すぐに復活したのもよくわかります。
英国の「おせち」?なクリスマス・プディング
このクリスマス・プディングのレシピは、家によって微妙に違い、もめる原因にもなるようです。日本のお雑煮とおなじような感じです。
ヨーロッパ諸国ではクリスマスにお正月のように厳粛に祝い、1月1日は日本のクリスマスのように騒ぐ祭日となっていて、日本とちょうど逆の祝い方となっております。
クリスマス・プディングは、英国のおせちともいえるのかもしれません。
変わっていくプディングの伝統
とはいえ、キャリアウーマンが多くなり、忙しい世の中になってきたので、英国でもスーパーでレディメイドのクリスマスプディングを買ってきて温めて祝う家庭も最近増えてきているそうです。
各家庭のレシピがなくなっていくのも少しさびしいのですが、仕方がないことでしょう。
家事、育児、仕事をしてプディングまで作っていたら過労で倒れてしまうのが落ち、という事になりかねません。
ここは学者の方々に頑張っていただいて、1つでも多くのレシピを収集し、記録に残しておいて、食文化研究をしていただきたいものだと思います。
クリスマス・プディングについて