早く冬になってほしい

 早く冬になってほしい、としみじみ思う。植物が動き出す春から夏も捨てがたいがやはり冬場の方が何故か落ち着ける。暑さの中で涼しさを感じるより、寒い中で温かさを感じた方が上手く説明がつかないけれどもほっとする。快適さだけではない、心惹かれる要素がモノクロの世界の内側にはある。

 冬恋しさでいっぱいになり、終いには夏真っ盛りの中アウターを通販で眺めて悩んでいた。数年使い込んだマウンテンパーカーが紫外線を浴び、また雨風に曝された影響か色褪せてきたためそろそろ替え時だろうと踏んでのことでもある。

 あまりにも長く買っていなかったせいでアウターのサイズ感が麻痺しており、鏡に映る自分を一目見て、馬鹿馬鹿しくなった。真っ先にピンと来て注文したダウン。いざ着てみると袖から手は出ないし、私の横幅が倍になっていてがっかり。そんななので即、返品した。送料が自己負担なのが痛いが、かといって街中を歩けないくらい大きすぎる。このまま電車に乗ったら、両脚を大きく開いて隣に座らせないような、そんなたちの悪さが漂うではないか。登山家だってこんな大きいの着ないのに。内心ぶつぶつ文句を言いつつ、段ボールに詰めて郵便局に持っていった。

 実際に自分の目で買いたい、と思っても夏である。店舗に置いていないこともないけれども、本格的な冬場を耐えられるような代物はまずなくて、せいぜいが風から身を守れるくらいの生地が薄いものなら、という感じだ。それはそう。もう少し細かくサイズに目を通して通販で買うしかないのだ。

 二週間、ほとんどアウターの事ばかり考えてすごしていた。悩ましくさせるのが私の体型のせいでもあり、メンズSサイズで探すと以外と見つからない。そこでMにすると二の舞を踏む可能性があるので下手に妥協せずSにこだわった。そうしてようやく納得できる一着を買ったわけだけれども、それどもまだ秋の気配が密かに漂い出した頃合いである。着て回りたいから早く冬になってほしい。

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行谷いさご

たまに講座を受けながら十年ぐらいエッセイを書き続けています。くどい言い回しが表れたり、感情を挟む以上に説明文が長かったり、その辺を何度も読み返して反省を繰り返しながら一作品、また一作品……と、丁寧に、少しずつ作り上げていきたいです。

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