考えすぎ!

私はつくづく面倒な人間だと思う。一言でいうと「考えすぎ」なのだ。

小さな頃から私は人や世界との間に強い隔たりを感じて生きてきた。
自分の性格なのか家庭の影響なのかわからない。おそらく両方あるのだろう。

人のせいにするのは嫌いだが、幼少の頃の父親は恐ろしく「過剰」な男だった。
ものごころついて強く記憶に残っている言葉が「考えろ!、自分で考えろ!」だった。「金!」「勉強!」「仕事!」というフレーズも強烈に頭に叩きつけられた。「三つ子の魂百まで」ということわざがある通り、いくつになってもこれらの言葉はまさに強迫観念となって今でも強く自分にまとわりついている。

おかげさまで一般の人と違う世界観と思考回路になってしまった。今でも自分のことや他人のこと、世界のことなどに対して普通ではない異常な興味と好奇心が強く働き、いつも空回りしている。やっかいなものだ。

私は昔ながらの伝統が色濃く残っている由緒ある神社の集落で生まれた。みんなが知り合いで助け合う土地柄だ。生まれてからものごころつくまで私は違和感なく過ごしていた。いわゆる「普通」だったはずだ。家族の中で父だけが私にとってとても違和感のある存在だった。いつも一緒にいた祖父や祖母はクセが強く賢くはないがまともな人間だった。父は「本当に親子なのか?」と疑わずにはいられないほど全く違う人間でプライドが高く優秀な技術者でエリート意識が強烈だった。

大人になってわかったことだが父親の祖母、つまり私の曾祖母はいわゆる地主の娘で恐ろしく頭が良くて周りから「女マッカーサー」と呼ばれた存在だったようだ。父親は彼女を崇拝していたが私は会ったことがないのでわかるはずがない。

その曾祖母の実家は昔の封建的な「家」制度の名残りでいわゆる「本家」というが、優秀な人材を輩出する家柄で伊達家がその由緒ある神社に参拝するときに宿泊場所として定期的に懇意にしていた門番までつくほどの家柄だったようだ。父親の幼少の頃は先生を次々に輩出しており、「先生さま」と称えられるほどだった。なぜ父親と親戚が優秀なのかがこれで合点がいった。正直自分の人生にとってはありがたいようで迷惑なようで目の上のタンコブのような存在だった。

私には「生まれる前から友達だったんだよ!」と言われるくらい親同士も同じ集落で生まれた病院も同じ、まるで兄弟のような友がいた。しかし彼は自分にとっては対極的な存在であり太陽のように光り輝いてまぶしく、誰とも楽しくコミュニケーションを自由自在に取れて人が集まるいわゆる「人気者」だった。そして自信があり己のことがとても大好きな人間だった。そんな自分とは正反対の彼に私は気心さえ許すことができなかった。好きではあったが嫉妬心も同じくらいあった。私の強い「違和感」のベースはここにあるのだろう。

「普通に」「自然に」生きてるように見える人がとてもうらやましいと最近まで強く思っていた。ただこれも自分の思い過ごしなのかもしれないと思うようになった。人に言えない事情を抱えながら平然と生きているのが人間だと最近つくづく思うからだ。自分のことはよく見えず、人のことはよく見える。しかし自分のことは自分にしかわからないのが人間だ。だから人には必ず他人が必要なのだろう。私は「人間」という言葉が好きだ。人生経験を重ねれば重ねるほどこの漢字の意味が良く理解できるからだ。人という字は人と人とが支えあっている。単独の「個」ではなく人と人の「間」に私たちは生きている。

私はここ最近、運命的といえる出会いをした。その人とは今まで自分が誰にも言えなかったことを何でも話すことができた。もちろん言葉にできなかった自分の感情を今まで積み重ねた学習や人生の経験によって言語化できたのも大きい。まさに自分にとってのグッドタイミングだった。彼は私の話を最初から最後までよく聴いてくれた。しかし返ってきた言葉は以外なものだった。

「考えすぎじゃない?」

この一言で不思議と自分の思考や感情のチューニングが合ったような気分になった。まさに「人間」になれた気分がした。そういえば前にも「考えすぎ」だと言われていたが「誰もわかってくれない!」「わかってたまるか!」という過去の自分を思い出した。

そうだ、自分は考えすぎなのだ。性格は変えられるとアドラーが言っていたのを思い出した。これからは人の話を否定せず、いったん自分の中に取り入れて生きていこう。そして自分が関心ある人やものに対しては偏見を捨てて敬意を持って素直に接しよう。そうすることで「人間」になれるはずだ。





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kontaka

はじめまして!kontakaといいます。強すぎる好奇心で空回りすることがよくあります(笑)趣味は読書と麻雀です。大切にしているのは「今」を感謝して真心で生きること。日日是好日です。

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