アンから学んだこと②

アンの時代は大きなルールで道徳は存在していて、それを破るのは社会的にタブーとされていた。

そのタブーは各家庭の決まりによるもの、さらには学校、そして大きくは教会をはじめとする、当時のキリスト教の規範に即している。人々はそのコミュニティの規範にできるだけ沿うように生活していて、そこから外れると、よくない評判をたてられてしまうので、アンが住んでいるような田舎ではそれがちょっと窮屈だ。

これは日本社会と全く同じ傾向だ。どうやら人間社会とはいつの時代もそういうものらしい。しかし人間の生き方にはいろいろあって、そのどれもが正解であるはずだ。

日本では子どもは子ども扱いをされて育つ。家庭でも学校でも頭ごなしに命令されたり、一方的に服従させられたりする場面が多い。そうじゃない家庭というのはよほど珍しいのではないだろうか?

大切なのは子どもには子どもなりの自主性と判断力があるということを認めるかどうかのはずだ。そこが赤毛のアンの世界ではアンはきちんと一人前の人間として扱われている。

これはすごいと思う。なんせ100年前の作品だ。日本の社会も教育も自主性を重んじる方向に舵を切っているが、自分で感じて、自分の判断に照らして行動する。そしてその責任はちゃんと自分でとる。それが子どもであっても求められている。

赤毛のアンでは分別のない子どもとしては扱わず、きちんと考えれば理解できる人間として扱い、アンの自主性を尊重し、どう行動するかはアンに任せている。子どもだからといって、甘えて親や教師に判断を任せるのではなく、きちんとした思考力と判断力をもつべきだという考えになる。

自分の頭で考え、その行動の結果にも責任をもつことは、子どもであっても、そして大人になってからも、とても大切になるものだ。それが自立とか自由の本当の意味なんだと思う。

プライドとは他人より優れるということではなく自分自身が置かれた環境、状況を引き受けるということなんだと思う。

アンなら孤児になってしまったということに対して卑屈にならないこと。我々は生まれ育った現状にプライドをもっているだろうか。環境のせいにして自分が与えられた環境の中で自分たちの可能性を探り、満足を得ていこうとしているだろうか。

プライドをもたずにいつも他の人の生活を気にしていると、いつまでたっても隣の芝生は青く見えてしまう。常に他の人の生活の方が自分よりいいと思ってしまい、うらやましがってしまう。これでは自分の人生にいつまでたっても満足はできない。

アンのような幸せを手にすることができるためには「あきらめない」こと。これしかない。いいことが起こっても、あるいは起こらなくても、あきらめないで毎日をちゃんと生きていると、幸せはいつか自分の元に巡ってくる。

これは人生を生きるうえでの真実だ。じっとしていても、幸運は向こうからはやってこない。とにかく行動する中で、さまざまなものに出会うことが大事。行動の次には、自分が出会ったものの存在、意味に気づかなければならない。

せっかく素晴らしい出会いがあっても、それに気づかなければ、偶然の幸運を活かすことはできない。そして出会ったものを受け入れる必要がある。せっかく偶然の幸運との出合いがあり、そこに気づいても、それを受容できなければ意味がない。

なぜなら、出会いとは時として今の自分の価値観からは到底、受け入れられないこともあるからだ。

そのときに、今までもっていた価値観に固執せず、受け入れる勇気がなければいけない。

何よりも大切なことは、なかなか幸運が巡ってこなくても、とにかくあきらめず、やさぐれず自分の生き方を維持していくこと。

たしかに努力しても、ちっとも夢がかないそうになかったり、いいことがなかったりすれば、誰だってやさぐれたくなるかもしれない。

けれども、どんなときも自分の生き方が崩れない人こそが本当に素敵な人で、いつかは必ず幸運を手にすることができる人だ。このことを忘れないようにしよう。

しかしアンは本当にたくましいと思う。自分の運命を受け入れ決断を下す。家族や帰るべき家を持たなかった彼女は常に孤独で不安定だ。それは気の遠くなる状態なはずだ。当たり前だと思っていた家や家族のありがたさに気づけて勇気をもらった。自分の運命は自分で決める!これがアンのメッセージだ。

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kontaka

はじめまして!kontakaといいます。強すぎる好奇心で空回りすることがよくあります(笑)趣味は将棋とデッサンと読書です。大切にしているのは「今」を感謝して真心で生きること。日日是好日です。

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