毎度皆様こんにちは。
これから「かつての蒼い日記帳」と題して私が考えたキャラクターとそのエピソードを記していきたいと思います。よろしくお願いします。
早速以下からどうぞ。
「そうね…あなたは虚像と実像の差がどういうものかわかっているの?」
無造作に投げられた彼女の言葉が私の意識に触れたとき、張りつめていたモノが千切れる音を自覚した。
それでも砂上の楼閣ぐらい私の意識がしっかりしていれば話は違ったか?それはわからない。
そして彼女は様々な角度から私の異能に関する分析を自分の所感を交えて聞かせてくれていた。
機密保持の観点からすればとてもスルー出来ないその詳細な解説は感情と意識を断続的に波立たせるモノだ。
それでも理佳は目の前の敵性人物に向けるには優しすぎるほどの眼差しを心掛けて心を落ち着かせる。
まだ排除すべきではないのか…?
現状を鑑みれば独断専行で厄介ごとを起こす事は承認されまい。
しかし上の意思決定を待つ時間は無さそうだ。
そもそも自分の手の内は彼女と共に作り上げたモノ。つまり手持ちの攻め手や搦め手は彼女に通じない事は明らかだ。しかし…
そこまで思考を巡らせて里佳は唐突な違和感を覚えた。
物思いに迷っていた時間はほんの数瞬だったはず。
それでも目の前の世界は明らかに違って見えている…めまいが止まらず感情がまとまらない。
彼女の作り上げた視覚情報は幻像か実像かなど考える余地のない影響力を里佳に突き付けている。
里佳の現実は彼女が作り上げた”リアル”へと飲み込まれていった。
彼女はその様子を何とも穏やかな様子で見送っていた。
 
                    