久しぶりに昔の夢を見たな…
悠華はまだ醒めきらない意識を持て余していた。
執務室の窓からは夜の帳がとっくに降りていることがわかった。
机にはさっきまで格闘していた書類と放っておかれたままのハーブティー。
ハーブティーはとっくに冷めていて、その残り香は飲んでくれなかった悠華に苦言を呈しているように思えた。
少し根を詰めすぎたかな。
悠華は先程から身を預けていた執務用の椅子から立ち上がると伸びをする。
小気味よい音が体中の関節から聞こえて、積み重なった疲労度合いが感じられた。
…この藤御堂本家にも長らく帰ってなかったしちょっとゆっくりしていってもいいかな。
悠華の意識はもう執務から離れ、夜食や間食のイメージに支配されつつあった。
クッキーやケーキもいいけど夜には重いかな?
頭の中がこんな状態では仕事も全く手につかない。
よし!今日は切り上げよう!
悠華は直ちに自分の休息移行を決断すると上着を手にして…気づいた。
日常の平穏を侵す、招かれざる異物が自分に逢いに来たことに。