神が語らう備忘録 49話「期待された理想像と偶像が求める現実観」

「それで関係者各位は事実確認で大騒ぎ、か。最早隠す気も無く乗っ取る算段というわけね。」

悠華は先日の「観月会」での出来事の報告を受けてため息をつく。

これはインフラ利権や安全保障に絡めた異能者利権を日本政府に承認してもらおうまで見据えた流れだろう。

ヨーロッパや北米でも異能者による超人的組織で安全保障に取り組んでいる流れが強まっている。

人間の生身ひとつで現代兵器並みの武力・制圧力を備え、さらに身軽で物理的封鎖をも通り抜ける異能者を計算しているか否かで現場の対応や必須リソースは激変する。

そして大規模破壊兵器も結局人間が操作しなければ張子の虎である。

その決定を下す指揮官や司令官、現場のオペレーターを操ることのできる精神感応系および思考操作系能力者は今や想定必須のリスク要因である。

そしてそのリスク要因が統率の取れた同期ネットワークを携えて行動できるというのは大規模破壊兵器よりも現実に差し迫ったリアルだ。

そういった明らかな日常の崩壊懸念を自ら晒してまで”イージス・チャネル”構想を動かしているのは理解に苦しむところだが、桜梅桃橘の四家が絡んでいる以上どのような算段でも「成功」を見込んで無理を通しているのは確実だろう。

彼らの管轄している”聖典”は原書の一部だが、それでも現実改変を可能にする力は存分にある。

…もう行動に移さないデメリットの方が無視できないレベルになってきたな。

悠華は報告をしに来た部下を下がらせて窓の外に視線を移す。

冬特有の空気の澄んだ景色が意識をよりクリアにしていく気がしている。

この雪景色が溶けてなくなるまでがタイムリミットだな。

悠華は目の前の銀世界を眺めながらこれからの未来像を構築し始める。

新たな芽吹きの季節を喜びとともに迎えられることを願って。

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しなちー

アニメやライトノベルを1990年代から没頭している古参オタクです。 様々な作品から感じた事や個人的創作論、私なりの世界観を舞台としたショートストーリーなどを発信していきたいと思います! よろしくお願いします!

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