自画自賛もここまでくると清々しいものですね。
彼女は上がってきた報告書に目を通してひとことそう告げると、部下の言い分を待った。
部下の男は想定していなかった厳しい言葉に対し何とか言葉を繋いでいく。
「お言葉ですが橘相談役…この度のプランで不都合要因となった藤御堂家のお嬢様の護衛ですが、これまでのデータからは想定できない異能の飛躍的発達が見られたモノです。そして概念系の能力者であることで」
橘は厳しい目で部下の男の弁明を打ち切らせると現状の不安点を確認していく。
先日の「観月会」の仕切りは桃瀬のやり方で無理は通せたようだが、藤御堂家側に正しい状況を把握されたのは痛い所だ。
それに”フェイクヴィジョン・ブレイズ”、斎木真だったか。
「現実を”嘘”にする異能」とやらがどこまでの事象改変を可能にするかは未知数だがこれからのリスク要因として見逃すことはできまいな。
橘は部下を下がらせると自分直轄の異能者チームへのホットラインを立ち上げる。
そして必要最小限の言葉で要件を伝えた。
「ああ、私だ。「フェアリー・リリック」総員でこの度の任務に当たってくれ。必要なモノは全て用意しておく。」
了解、とだけ返答を聞いた橘は一息つくと通話を切り執務室の椅子へ体を預けた。
…これからの未来には御三家は不要。まずは表側の秩序を担う藤御堂家からその役目を退いてもらうとしよう。
橘は自らの思い描く理想像に陶酔して歪んだ笑みを浮かべる。
その顔には悪魔と契約を果たした者の愉悦と興奮が露わに刻まれていた。
