奉納の舞はつつがなく収められた。
新月の夜はすでに遠い過去のものとなり、空には真円を描く月が部隊を照らしている。
響子は芸事に詳しくはなかったものの流れている空気の織り成す流麗さをその身に感じて目を細めた。
…星詠みの力を持つ彼女の先見の異能はもちろんこの景色を事前に見せてくれていたが、実際に目の前で具現化した景色は少なくない感動をこの胸に満たしてくれる。
同じ空の下で貴女もこの風景を感じてくれているよね?
戦友であり近しい友人である彼女のことを思い浮かべて響子は今沸き立った感情を抱きしめる。
あとは月の満ち欠けと共に事態は胎動を始めていくはず…皆の選択した未来がこれからの道の先を照らしてくれている。
そしてかつて目指したあの場所へ向けて歩み進めることが大事なのだ。
自らの大事なものが何かをしっかりと確認して、響子は長年連れ添った不信感を投げ捨てる。
眩いほどの月明かりの中、響子は嬉しそうに空に手をかざしてその光に身を晒していた。
