かつての蒼い日記帳12-朧げな最適解と幻想的現実論-

「天地が切り離される以前の世界の在り方について質問してもいいですか?」

一緒の講義を取っていた友人はセリーナの唐突な発言にぎょっとして硬直している。

神学担当の講師は射貫くような厳しい視線でセリーナの不躾な質問を咎めていた。

あれ…またやってしまったかな?

周りからも空気の読めない困ったヤツは早く発言を撤回して謝罪しろとの無言の圧力が感じられている。

先月提出したレポートについてお説教された時と同じ状況を生み出してしまったな。

セリーナは自らの学習機能不全を持て余しつつ、とりあえずの謝罪をしてため息をついた。

確かあの時は「原始的狩猟時代の神は人間に何をもたらしたのか?」的なことを書いたっけ。

小麦とワインが無い時代の晩餐はさぞ寂しいだろうな…とかしたためて得意げに提出したのだ。

いつもは日常を書き留める習慣の無いセリーナであったが、その時の反省文50枚に懲りて自戒をしていたはずだった。

とりあえず講師の顔色を伺い様子を見る。

講師の機嫌はまだ傾いたままだったが、これ以上の叱責は意味が無いと判断されたのだろう…授業は再開されていった。

何とかやり過ごしたか…

ひとまず胸を撫でおろしたセリーナは授業に意識を移そうとするも納得いかないわだかまりを抱えていた。

”別に聖典といえど作られた物語なのだからあんなに過敏な反応をすることもないじゃないか?”

つい言葉に出しそうになるがもしこの場で口走れば中世よろしく物理的に吊るされる事もあるなとは思う。

そして”神の加護があれば火炙りされても無事なはずだ。祈りなさい”みたいな展開になるのだろう。

流石に無いと思いたいが。

そんな火種を抱えていたセリーナだったが、内的な衝動を何とかなだめて今度こそ授業に戻ろうとしたとき意識の中に不自然なノイズが走った。

これは以前にもあった魔術的存在が近づいているサイン…っ

何故こんな時に。

荒々しい気配が感じられてわかりやすいほどの害意が自分に向けられているのがわかる。

敵性存在の接近に対応しようとしてセリーナは戦闘態勢に移行しようとするが、この場の状況を思い出して踏みとどまる。

基本魔術や異能は秘匿しなければならないモノ。

さらにこの衆人環視の中での戦闘行為などできない事だ。

…イベントフラグの回収にはもっと気を使って欲しいのだけどね。

世界の管理者がもしいるのならクレームを直接入れられる道具を開発してやるとの密かな決意をセリーナが決めた日の出来事だった。

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しなちー

アニメやライトノベルを1990年代から没頭している古参オタクです。 様々な作品から感じた事や個人的創作論、私なりの世界観を舞台としたショートストーリーなどを発信していきたいと思います! よろしくお願いします!

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