どうしてこうなったんだろうな・・・。怪我して1年半で完治したけど、未だに陸上の怪我の怖さで上手く走れる自信がない。
いくつもの称号を飾ってるけど高総体は初の1位を取り、中学の時も4位の実力を取った。でも高校2年の時に膝の怪我、前十字靱帯が損傷した時は走るのも怖くなった。
これからもこんな将来空っぽのまんまで行くのかな・・・。将来はプロの陸上選手になりたかったなあ・・・。
結局中高で到達できなかった俺の言い訳に過ぎないか・・・。
学校では半ば諦め気味になってちょっと落ちこぼれになっていた。
幸い、監督から走るのが怖くなったと相談したら「あさひ、マネージャーにならないか。」と方向転換させてもらって生きている。
「あさひ兄ちゃん、今日も走らないか・・・?」
「ごめん、兄ちゃんはもう走る気がないんだ。悪いけど流日はお前一人で走ってくれ。」
弟の流日(るか)は少し女性の顔立ちに近い。流れるお日様だから流日。女の子っぽいだろ。
でも彼は近年メキメキと成長している。中学3年になってから連続で陸上中総体1位の賞状をもらっている。
彼の成長は目間苦しいぐらいで嫉妬するがせめて怪我だけはしてほしくない・・・。
「・・・そっか。残念だよ。」
そうだよな。こんな全てを諦めた兄貴は見たくないよな。でもこの怪我が全てなんだよ。
実力を出しても怪我した瞬間の衝撃が恐怖として未だに残るんだ。ごめんな・・・流日。
そんな諦め半分で学校に来て家庭科の調理実習の日が始まる。