ある日、一人の子供が産まれた。両親は彼に「素直に生きてほしい」と願い、愛情を注いだ。
幼稚園では「たくさん遊びなさい」と言われたので、目一杯遊んだ。 小学校では「たくさん勉強しなさい」と言われたので、猛勉強した。成績が上がると、両親に「中学受験をしなさい」と言われたので、受験して合格した。
中学校に入ると、友人に「恋人がいたほうがいい」と言われたので、好きになる相手を選んでもらった。のちに別の友人から「その子が好きだから協力してくれ」と言われたので、快く譲って協力した。
高校生になり、親から「バイトをしろ」と言われた。何が良いかわからず友人に相談すると、「俺と同じところにしろ」と言われたのでそうした。
大学受験の時、私の成績で行けるところは少なかった。両親は「なぜ勉強しなかったのか」と私を怒ったが、理不尽だと思った。誰も私に「勉強しろ」と言わなかったのだから、しなくて当然ではないか。結局、担任に勧められた大学に入り、両親に「一人暮らしをしろ」と言われたので、実家を出た。
ある日、友人から連絡が来た。 『穴を掘るから、シャベルを持って××山に来てくれ』
なぜ山の中で穴を掘るのか。疑問には思ったが、拒む理由もないので向かった。二人で黙々と、時間をかけて大きな穴を掘った。「もう帰っていい」と言われたので、大人しく帰宅した。
数日後、その友人が失踪した。 私の部屋に警察がやってきて、「話を聞かせてほしい」と言った。
私は、知っていることをすべて、素直に話した。
その後、あの穴がどうなったのかは、誰も教えてくれないので知らない。
