#20 カンタ君逃亡劇

前回の話

諸君、新しいミッションの追加だ…。
ナンバーと対象と同じ誕生日のナンバーを私のもとへ連れてきたらいいのさ…。彼らがなんのためにゲームに参加しているのか…少し興味が沸いてね……。
有力情報を教えてくれたら報酬として情報提供者には30万をプレゼントしよう!!もちろん、連れてきた者にもそれなりの報酬は払うよ?では、検討を祈る。

唐突に拡声器で流れたライザックによる中間報告。この、新ミッションが最悪な事態を呼ぶとは誰もが思いもしなかった。

オレ、ナンバーじゃないから…30万もらえないわー!

どっちかっていうと、500万のほうが価値あるしな!!

金もらえるなら、なんでもいいや!!!!

ゲーム参加者のプレイヤーからは、賛否両論いろんな意見が飛び交ったが…
そんななか“お金“目当てで参加しているプレイヤーとナンバーは多くて。みんなで特技を活かしつつ、これまで誰も失うことはなかった。
ずっとこのまま、このメンバーで居たいとも思った……。
そんな俺の微かな願いは薄れ消えていったのだった。________

あなたは、姫路幹汰について何を知っている?

え、ええと…あ、あの……。

彼のこと何も知らないのーーー?

誕生日と住所くらいしか…………

そんなものは、ネットで簡単に拾えるね!もしかしたらデマかも?

そ……そんなぁ…

音声が聴こえてきて上を見上げると、1人の少女が映し出されていて質問者は音声のみ……最初、質問者はライザックなのかと思っていたが…声が違っていた。
ボイスチェンジャーを使っているような声でもなかった……すると何者かが一般市民について俺に聞いていた。

この声………

質問者なのか、アンサーなのか分からなかったが…ショウが聞き覚えのある声だと小声で言っていた。僅かな声だったけど俺にはちゃんと聴こえていた………………その日、謎の質問者とアンサーはアンサーを変えて7人ほど同じことを繰り返された。俺たちは、安全な場所に逃げながらその中継を見ていた。

次の日

居場所は割れることなくいつも通り逃げていた俺たちだが、逃げているルートが妙に静かで不気味だった。

おかしい…静かすぎないか?

そうだよ、ね……なんだか怖いな…

周囲を確認しても…何もないようね?

待って!何か、足音が1つ聞こえる………

飛坂さんが耳を澄ませて俺たちは一言も喋らず様子を見ていると、その足音は少しずつこちら側に近づいてきて…………急に、足音は止まった…………。
みんな敵に背を向けていて、敵の動きを読み取る者…武器を素早く手に入れる者…必死に対策を考える者……。みんな、敵に意識を集中している………
敵は、接近しているが一言も発さない…。敵の行動次第で、こちら側の行動も変動する…。

ひ、……ひめじ………か、かん……た………

様子が少しおかしかった。これまでの敵とは、どこか違っていて……………
すごく気になったけど、俺はまだ振り向かなかった。

ご、ごひゃく・・・・・・・まん・・・・・・
ほしい・・・・

次の瞬間、敵が武器を振りかざしたような音が聞こえてきた。その音を聞いて飛び出したのは___未梨愛…………

カンちゃん……危ないっ!!!

バンッ!!!

未梨愛っ!!!!!

幹汰伏せろ、あとは俺が殺る…

待って、ショウ…あいつ……なんかおかしいよ??

俺を撃とうとした敵は、口調もおかしかったけど両目が赤く充血していて…………不気味なバッジを衣類につけていた。常にオドオドした喋り方で、
攻撃を仕掛けるときは俊敏な動きであっという間に追いつく。
それはまるで、映画やドラマに出てくるようなロボットの動きに近い……
その、あまりの俊敏に動きについていけず隙を見せた未梨愛は足を負傷した。

俺を…守ろうとして……………

い、いやぁぁぁぁ…血、血ぃいいいいいいいい

落ち着いて、飛坂さん。人の血を見るのは初めてなのか?

そうよ………は、はやく!!止血しないと!!

幹汰、設楽を日陰の場所で手当て!飛坂さん、きみは家事以外なにもできないようだから邪魔にならないように道の端っこにでもいなよ。あとは俺が始末する…

なによ!!さっきから、邪魔邪魔って!!大体、あなた…

飛坂さん、いまはショウの言う通りに動いて…。
未梨愛を死なせたくないんだ!!!

バンッバンバン_____

美しい金色の髪が風に揺れていた。
人を撃つことさえなければ、その情景を心からキレイだと言えたかもしれない。ショウは、初めてなのか分からないけど敵の急所を打ち抜いていた。
それから敵の気配はなく未梨愛の手当てをした…けど、血は止まらなくて………
焦っていた。このままじゃ………本当に、未梨愛は………………………

ひとまず、安全な場所に移ろう

KMKに戻らないか?そのほうが何もかも揃って…

いや、それはだめだ。
透明化はもうできないし、デメリットのほうが多すぎる

じゃ…これから、どうすれば………

さっきの奴と同様、また狙われる可能性が高い…いまは身を隠そう

場所を移して俺たちは休憩をしていた。すると聞きなれた音声アラームが腕から聞こえてきて……

”この場所は安全性が高いです”

壊れてたんじゃなかったんだ……

大丈夫のはずだ。
いままでプロテクターが無反応だったのが少し気掛かりだが、小さくしてもアラームは聞こえるはずなんだ……これもライ達の企みなのか分からないが……

俺には分からないけど、敵の作戦かもしれないんだね……

その可能性もなくはないってことだ……。
そうだ、幹汰この紙だが…見たらお前の事が書かれていた。浅井夫婦のこと…なんで隠してた??

どうして……。俺の知らないところで、誰も知るはずのない情報が…

第21話へ続く

  • 0
  • 0
  • 0

水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

作者のページを見る

寄付について

「novalue」は、‟一人ひとりが自分らしく働ける社会”の実現を目指す、
就労継続支援B型事業所manabyCREATORSが運営するWebメディアです。

当メディアの運営は、活動に賛同してくださる寄付者様の協賛によって成り立っており、
広告記事の掲載先をお探しの企業様や寄付者様を随時、募集しております。

寄付についてのご案内