#21 カンタ君逃亡劇

前回の話

早く止血しないと!!

……私、助からなくてもいいや……

なに言ってるんだよ!!ここまで来たのに……
ライザックの正体もわからないままで……
未梨愛はそれでいいのかよ・・・・????

もういいの…………カンちゃんをこうして守ることができたし……それに、アルが待ってる気がするの……
まっててね…アル…わたしもすぐ……そっちに行く…から………

未梨愛―――――――

気絶してるだけだ……

ほ、本当だ……まだ暖かい……

俺を庇って、生死を彷徨っている未梨愛。何とかして助けたい!!!!
幸い、まだ気絶してるだけだけど……止血が間に合わないと……未梨愛は…………そんなこと考えたくないけど・・・。
そうなってしまうのが怖い…………幼馴染を失うのは……いやだ。

まずいな、追手が迫ってきている。応急処置はしたけど
血が止まらないから薬局に行かないと……

なら俺が行くよ!!!

そうだな、ここはひとまず幹汰に囮になってもらうか……
本当なら設楽の役目だったんだけどな

幹汰君一人じゃ危ないわ!!私も付き添う!!

…いや、ここは……俺が……

未梨愛さんがこんな目に遭って……ショウくんは闘ったじゃない?私にも何かできるはず……

君に何ができるのかは知らないけど、設楽が目覚めたら手料理を振舞ってやってくれ……

ええ……

幹汰を頼むよ。
ここじゃ危ないから、“光射すあの場所“で待つ

そう言って、ショウは未梨愛を連れて“光射すあの場所”に向かった。
暗号なんて久しぶりだなぁ……多分、あそこだろう……俺にはその場所の在処が分かっていた。でも、飛坂さんは何のことを言っているのかわからない……
と言った顔をしていた……

光射すあの場所ってどこなの?

いまはまだ言えないけど、その場所を目指せばまたあの2人と再会できるよ……

2人にしか分からない合言葉みたいなものね?
確かに場所名を言ったら情報が洩れるのものね

そんな感じかな……

聞きたいことはいっぱいあったのに、2人になると会話が続かない…………
私の私生活が掛かっているのだから……仲良くなっておかないとッ……!!

かんっ……

何かいる?!

え・・・・・?

前から俊敏な動きで迫ってきたのは1人の女性だった。どこか……様子がおかしかった…………両目が赤く充血しているし、不気味なバッジが衣類に付着いていた…………“あの時“と似た感じがする……これは、ヤバイ

たす…………け……て……

こちらを見上げた顔は、どこかで見たことのある顔だった。
あれ、この人どこかで…………………………

私、この人インタビューで見たことあるわ!!!

そうか……あの時の……

顔が完全に一致してるもの……同一人物で間違いないはずよ……

その人がなんで俺たちを・・・・?

前の人はお金目当てだったようだけど。今回のは違うようね??

とにかく危ないから、飛坂さんは俺の後ろに隠れて……

幹汰君って童顔だけど、意外と男らしいのも・・・・・・???
自分が狙われてるこの状況で私を優先するなんて…………

た…………す…………け…………て

“助けて“ と言う女性は、俺たちに攻撃を仕掛けることはなかった……さっきと同じで“充血”に“バッジ”……あれが何なのか気になる………………

私を……ろ……して

…………え?

私を…………ころ…………して……………………

耳を疑ったが……言葉は合っていた。
「私を殺して」だったことが判明………………………………

俺は人を殺すことはできない。小さいころから恵まれてきたんだ…………
幼馴染や親友は俺を守るために手を血で染めてしまったが……
俺は……人殺しはできない。

できない……あなたを殺すことはできない…………

ころしてよ…………お願いだから…………
熱いの痛いの苦しいの!!!

さっきまで言葉を漏らしてただけなのに、いよいよ飛び掛かってきた…………
これは危ないと思って俺は初めて銃を手にした。そして_____

バンッ

生まれて初めて人を撃った…………。

ありがとう

女性はその言葉を最期に遺して意識が消えた。

う、うわぁぁぁっぁぁ!

初めて人を撃ったことに絶叫した彼…………
何としても人を撃ちたくなかった理由があったのだと確信した。

私の……ためにッ……ごめ、なさい……幹汰君…………

第22話へ続く

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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