どうぞ(SS・詩)

呪いって本人に呪ったよって伝えたら完成するってあるじゃん

え?知らない?

分厚い鈍器みたいな本を書く人が書いてたんだよ

思い込ませるってわけよ、現実主義のやつでも少しは気にするだろ

『自分を呪ってるんだ、何か起きるかもしれない』って

『何かが起きたら呪いのせいだ』ってね

まぁ実際は人が一番怖いんだけどさ

そんなこと言ってくるやつ怖いに決まってるだろ(笑)

今試してみる?良いねぇ!

待ってな…赤いペンで紙に書くから〇〇シネって、ありきたりな方法じゃん?

これを…破いて…細かくして飲め、水で、ほらどうぞ

しばらくしてお前の後ろに何かいる気配がしたら、成功した証だよ

「やっぱり気のせいだったな〜、お前が本気で呪う訳ないもんな(笑)」

電話口でやつが宣う、効果は無かったと。こんなもんだ。鈍感なやつは気づきもしない。というかほぼほぼ自作の呪いだ、気配などする訳がない。でも水を介した悪霊呼びはざらにあるから、少しでも擦れば良かったが…。

だけどここ最近どうやらやつの体調が悪いらしい。これは呪いか?かける側にも思い込みってあったんだな、とニヤける口元を覆い隠しまたやつに同じ物を飲ませる。入っているとはつゆ知らず。

「どうぞ」

どーも、また最近洒落にならない怖い話(通称洒落怖)にハマっているはちろうです。一文目の作者は京極夏彦先生が参考になっております。あと水を飲ませる行為は『おつかれさまでした』と言う洒落怖作品が元です。恐怖耐性がない人は読まないほうが良いですよ、とだけ。書いたものを飲ませる行為は鎌倉時代あたりの呪術行為です、まだまだ神や悪霊が信じられていた名残と聞きます。

なので水や飲み物を介した呪術は結構有ります。

呪いというと橋姫の丑の刻参りが有名ですね〜。現代に伝わる藁人形は簡略化したものです。嫉妬に狂った橋姫のお話はとても悲しくて…。まぁ呪われても仕方ない、と思う次第です。

という事で、ここまで読んでいただきありがとうございました!

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はちろう

回避性パーソナリティ障害。神話と宗教、羽や花欠損などをモチーフに描いたりします。芸大中退。サブカル全般好き。

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