文献を読んでいて、気が付いたこと
昨今、安土桃山時代の茶の湯について書かれた文献や、英国のアフタヌーンティーについて書かれた文献を読んでいて、筆者は気が付いたことがありました。
現在の日本の茶の湯の作法でも、お菓子はお茶をいただく前に食することになっておりますが、その理由は、安土桃山時代には、濃いお茶をいきなり飲むと胃の調子が悪くなる人がいたから、と書いてあったのです。
抹茶と和菓子の画像
今は、おそらく濃いお茶を空腹時に飲んでも胃の調子を悪くする人はあまりいないのではないか、と筆者は推測いたします。
なぜかというと、当時の抹茶は高級品で、限られた人が限られた機会に飲むものだった為、安土桃山時代の人の体は濃度の高い「カフェイン」に接することに慣れていなかった為、茶の湯の作法は上記のように決めるのが合理的だったと思うのです。
筆者のカフェインについての「推測」
ですが、現代の日本人は、日常的にお茶を飲んでいるため、カフェインに慣れきってしまい、抹茶の数倍の濃度のカフェインが入っているエナジードリンクを飲んでも平気だからです。
おそらく、安土桃山時代屈指の頑健な武将に今のエナジードリンクを飲んでもらったら、たちまち胃けいれんでも起こすのではないか、と筆者はひそかに考えております。あれから500年近く経ち、日本人の体質はカフェインに強く変わったようです。進化するには500年という時間は短すぎるように思うので、自然選択のようなものが働き、カフェインに弱い日本人や東洋系の人はあまりいなくなったのではないかと推測されます。
欧州の人はカフェインが苦手?
そして、アフタヌーンティーの文化が盛んな英国でも、「胃を悪くするから」という理由で、最初は「バター付きパン」を紅茶と一緒に摂ることが推奨されておりました。英国でも、昔は限られた人だけが紅茶を限られた時間に飲んでいたり、薬としての効果を期待して長い時間煮だして飲んだりして「事故」が起きていたので、紅茶と一緒に食べ物、という習慣が定着したようです。欧州でも、コーヒー文化が普及しておりますが、大概お茶菓子と一緒に食するか、食事の後に飲むことになっています。紅茶やコーヒーが普及するのが、東洋より遅かった欧州では、まだカフェイン耐性がない人が多いのではないかと思います。欧州では、それを自覚した人が増えたのか、カフェイン分がない紅茶やコーヒーが今、人気となっているようです。
もう少し、あと100年くらいカフェインが普通に入った紅茶やコーヒーを飲み続ければ、欧州の人たちもカフェインに強い集団になるのかもしれませんし、もしかすると、エスプレッソコーヒー文化のあるイタリアの人は、ほかの地域の欧州の方々よりカフェイン耐性がある集団である可能性もありますが、そのような文献を寡聞にして読んだことがなく、また、あと100年後の欧州の方々の体質がどうなるか見届ける時間がないのが少々残念に思えます。