近代の食器に必ずある「薄い膜」
皆様が使っている食器には、瀬戸物には釉薬、木製食器には漆が塗ってあると思います。
絵付けをした皿の画像
ところが、これが「健康を守る」という重要な役割を担っている事をご存じでしょうか。
縄文人の寿命が短かった一因
日本では、縄文時代から「土器」が作られておりました。
また、食器には、木製のものが使われていたと推測されます。
しかし、縄文式土器の使われていた時代には、「釉薬」という概念が無く、多孔質の土器で煮炊きを行っていた為、いくら洗ってもどうしても細菌の類が表面に残ってしまい、それで感染症を引き起こして寿命を縮める、という事態が頻繁に起こっていたようです。縄文時代の人も、そのことをなんとなく感じてはいたらしく、それゆえに「漆」という技術は日本では早くから確立され、食器をはじめいろいろなものに使われていたようです。
この漆という一層の膜が食器にできる事で、表面がなめらかになり、洗った時に雑菌がすべて落ちるようになり、健康寿命が伸びるようになった模様です。ちなみに縄文人の平均寿命は20代から30代前半だったそうです。
最も、文化的偏見による偏食で、引きこもりの生活をして20代で死亡している平安貴族の人生よりは、あちこちで狩猟採集をし、歌垣もあったであろう縄文、弥生時代の庶民の人生の法が楽しそうに筆者には思えます。
世界各地でも食器の変化で伸びた寿命
世界各国でも同じような現象は起こっておりまして、
ローマ時代には食器が木や素焼きの器から、ガラス容器に変わったり、釉薬のかかった陶器になったりしたので、寿命がそこから伸び始めたという面もありました。
なお、日本の祭事では素焼きの食器が使われることがありますが、これは1度だけ使う、という前提で神様に提供し、神人共食などに利用されるものです。
1ミリもないガラスの釉薬層と漆の層ですが、これが私たちの健康を守ってくれていることを、頭のどこかに入れておいていただけますと、嬉しく思います。