包丁の名前の由来
皆様のお家には、包丁は何本あるでしょうか。
筆者の家には数本ありまして、刺身包丁と、三徳包丁、その他ペティナイフ類があります。
包丁の画像
包丁という言葉の由来は、丁という料理人が王様の前で牛を解体した時に見事な刃物さばきだったので、そこからこの料理人が使っていた刃物が包丁と呼ばれるようになった、と中国の歴史書に書いてあり、それが通説になっているようですが、本来の意味は、台所に務める成人男性、というような意味だったそうです。日本では平安時代には、貴族の中にも音楽にあわせて包丁をふるい、貴顕の前で披露していたお方がおられたようです。
包丁を使う人の社会的地位
包丁人、料理人の地位は少なくとも戦国時代や安土桃山時代からある程度のものでした。
なぜかというと、当時は毒殺という方法が、ライバルを蹴落とす為に武家社会で頻繁に行われていた、という事情があります。
現在のモラルで考えると卑劣といえるかもしれませんが、数人の犠牲で、少なくとも数百人は死者が出る戦争を避けられるのは合理的、と当時の人は考えていたのかもしれません。
という訳で、身元がはっきりしていて信用のおける人が、政府要人や大名の料理人や菓子司になっていたようです。
欧州ではこれとは対照的に、エスコフィエ様の登場まで、料理人の地位は意外に低く、菓子を専門に作るパティシエが現れるのも、結構後の時代になってからのようでした。「パティシエ」とは、「パテを作る人」という意味の言葉からの転用で、もともとは料理の片手間に作られていたものでした。もっと前の中世時代には、甘い料理が宮廷では供されていたので、あまり菓子の必要がなかったせいかもしれません。
英語では包丁は「カッティングナイフ」とひとくくりになっているようで、欧州のほかの言語でも、そのような感のある言葉で表現されております。こういう欧州言語の直截なところが、筆者の感性にたまに引っかかるのですが、欧州には欧州の文化のよい所があり、日本には日本の文化の婉曲な美があるので、それはそれでいいのだろうと考えております。
包丁について