自然の摂理と因果律というものは何とも美しいモノだ…無論当然とも言える。
そう何十億年ものの芸術に対して軽率な賛美などおこがましいと思える程だ。
数多ある組織直轄のラボでシステム管理者として量子フィールド周りの調整や統括を任されている管理官、コードネーム「デネブ」というのが彼女の通り名「だった」。
「世界は不完全な要素を含めて”世界”なの。「完璧で完全な世界」なんてものを目指すこと自体が滑稽だわ。」
彼女はそう言い放って現場を後にした。
その胸中に何を秘めていたかは知る由も無いし理解しようとする者もいなかった。
それでも彼女が残した管理モジュールは稼働し続け、彼女が理想とした現実のシミュレーションを今尚続けている。
元よりシステム管理者、特に開発の段階から関わっていた関係者が語弊マシマシの言葉で持論を語っていたのが今では懐かしい昔話である。
そして実際にフィールドが実用レベルで稼働してみると感じうるものがあるのは確かだった。
彼女の献身具合に寄りかかっていた事実が癪に思えるということは隣に置いといて、だ。
静かに呼吸や胎動を繰り返すその”世界”は数々の管理者の思いや思惑を取り込んで今日も静かな脈動を続けていた。
