女王陛下の思い出の味である「ケーキ」
ヴィクトリア・サンドウィッチ・ケーキ。
英国のアフタヌーンティーがお好きな方なら、一度は聞いたことがあるケーキの名前だと思います。

アフタヌーンティーのトレイの画像
筆者も気になっていたので色々と調べてみると、
なぜこのパウンドにベーキングパウダーを少し入れてふわふわにし、2つに切ってジャムを挟んだだけのケーキに女王陛下の名前がつくことになったのか、わかって参りました。
これは、ヴィクトリア女王陛下の「思い出のケーキ」だったそうです。
ご夫君の「アルバート公」が生きておられた頃、子供たちと夫君の家族そろってのアフタヌーンティーの折に出されていたケーキなのだとか。
どういう理由なのかわかりませんが、当時主流だったドライフルーツやシード(キャラウェイ等の種)が入ったケーキは子供が食するには危険と思われていたそうで、子供たちへの配慮で、パウンドケーキに近い生地にジャムを挟んだだけ、というケーキが供されていた、と書いてありました。
夫君が生きていた頃の家族の思い出のケーキなので、また公の場に出る際のティーパーティーで供する事が決められた模様です。
リトアニアのパウンド型で作るはちみつケーキ
しかし、今はサンドウィッチティンと呼ばれる焼き型で作られるこのケーキは、私が別の文献で読んだ折には、もともとこのケーキはパウンド型で焼いたケーキを使って作られていた、と書いてありました。その時は、そういうものなのかと記憶に留めておりましたが、のちにネットで検索してみると、リトアニアの家庭菓子で、パウンド型で焼いたはちみつ生地のケーキにサワークリームとはちみつを挟んだケーキ、というものがあるのを知りました。スラヴ文化圏でよく見られる、「メドヴィク」と呼ばれるケーキの単純化ヴァージョンです。
これを見て、もしかすると「ヴィクトリア・サンドウィッチ・ケーキ」と何らかの関係があるのだろうか、と、筆者は考えました。
もともと、当時の食のトレンドはフランス発祥という事が多かったのですが、カトラリーをたくさんそろえたりするところは、ロシア宮廷からの流れでした。もしかすると、このメドヴィクの単純化されたものも、ロシアの料理人から入り、英国でも入手しやすいラズベリージャムに変わって「サンドウィッチ・ケーキ」になったのかもしれませんし、若しくは、ロシアにお嫁入りしたヴィクトリア女王陛下の王女様もおられるので、そちらからこのケーキが伝わり、ロシアの庶民の間で親しまれているサワークリームと蜂蜜を挟んだパウンドケーキになったのかもしれません。
どちらがどのように影響を与えたのか、若しくは、全く関係がないのか。
これからしばらくの時間をかけて調べてみたいと思います。
ヴィクトリア・サンドウィッチ・ケーキについて
https://note.com/momo_yamaguchi/n/n73d101092615
リトアニアのはちみつケーキ
