ただ、月はなにも語りません。
形を変えながら夜空に在り続けています。
日本神話に登場する神、月読命もまた、
多くを語られることのない、神の一柱です。
太陽の神である天照大神のように、世界を照らすわけでもなく、
須佐之男命のように激しく動くわけでもない。
それでも月は、欠けながら、満ちながら、巡っています。
語られないということは、
何もないということではありません。
強く光らなくてもいい。
前に出なくてもいい。
夜にある光は、急かさない光です。
見上げた時にそこにある。
それだけで十分なのかもしれません。
