三月も後半に差し掛かったころ、X(旧Twitter)上で#NOWARBUNNYとハッシュタグをつけられたウサギをモチーフに描かれたイラストが大量に投稿されました。
発端はウサギをモチーフに作品制作をしているイラストレーターが「世界が平和でありますように」とのメッセージとともに一枚のイラストを投稿し、そのイラストに対し「自分の作品に政治的意図を持ち込んでほしくなかった」「政治色の強いあなたの絵なんて見たくない」「こんなイラスト一枚で戦争が終わってたら世話ない」など否定的な返信が寄せられ、それに対してイラストレーターが「自分は少しおかしくなっていたのかもしれない」と謝罪し、イラストをX上から削除、「しばらくSNSから離れて、政治的な議論はごく親しい友人とだけします」と投稿して以降、Xを含むSNSの更新が途絶えてしまったことが原因とされているようです。
この出来事に対し「こんなことがまかり通るのはおかしい」「言論封殺ではないか」と異議を覚えたイラストレーター、デザイナー、趣味で絵を投稿している人など、立場を問わず「戦争反対」「世界平和」のメッセージを掲げたウサギのイラストが次々と投稿され、これを描いている今日でも『#NOWARBUNNY』のイラストが投稿され続けています。
一部のイラストレーターは「デモなど自由にお使いください」とネットプリント(コンビニのコピー機で印刷できるイラスト)やSUZURI(個人でグッズ制作・販売ができるサイト)で自身のイラストを積極的に拡散し、実際に都内など各地で行われている大規模反戦・改憲反対デモにそれらのイラストが使用されていることがXの投稿で複数確認されています。
このX上の動きを見たとき、深夜にもかかわらず胸がざわつきました。
一人の製作者が、顔もわからない多数の否定意見に押しつぶされ、結果精神的に追い込まれて活動自粛にまで至ってしまったこと。
「戦争反対」「平和であってほしい」と言えば「左翼主義者」「頭お花畑」などと言われる今のXの環境。
当然今の情勢を冷静に捉えて意見する人もいるけれど、あまりにも感情に任せて怒りや憤りを140文字内(あるいは、それ以上)にぶちまけてくる人が多すぎるのではないか。
もやもやして眠れない中、私はスマホのイラストアプリを開きました。
政府の動向が不穏で、国民に負担を強いすぎている法案改正や予算案の可決が連日タイムラインに流れてくるのは、政治系のアカウントをフォローしているわけではなく、フォロワーがリポストしたもの。ふだん自分のイラストだけ上げていたアカウントが積極的に報道関係のポストをリポストしたことを、私は「がっかりした」「失望した」なんて言うことはできません。
私たちの生活が確実に脅かされている気配がする。
平和の維持を訴えられるのは、世間が平和であるうちでしかない。
考えすぎて、杞憂に終わるのであればそれに越したことはありません。
私は簡単ではありますが、イラストを描いてXに投稿しました。
閲覧数もいいねも増えなかったけど、確かに表明しました。
世界が平和であることを望むことを。

