このところ、往年の刑事ドラマ…というか、『キイハンター』だの『ザ・ガードマン』だのも観ているので「広義の」、という感じになるけれど、とにかく『Gメン’75』とか『特捜最前線』とか、日常的によく観ています。
そんな中で気になっているのが、各ドラマのエンディング。
いわゆる”王道“の『太陽にほえろ!』の場合、多くの回では無事事件が解決し、七曲署のデカ部屋で刑事の皆さんが談笑する中、石原裕次郎さん演じるボスがふと見せたひょうきんな表情や、笑っちゃって思わず口の中のお茶をブーッと吹き出した瞬間など、そんなストップモーションでほんわかと終わったりするのですが、実はコレ、例外中の例外といってもよく、多くの刑事ドラマのエンディングといえば、いわゆるバッドエンド、救いのないまま終わってしまうことも少なくないのです。
そこに流れる、エンディング・テーマ。
これがまた、まるで追い打ちをかけるかのように、暗い。
……と、そう思っていました。少し前までは。
でも、ちょっと違うんです。
たとえば、しまざき由理さんの「面影」(『Gメン’75』。この番組のエンディング・テーマは後に他にも登場したが、「面影」は番組スタート時から使用され、最大のヒットになった)。
チリアーノさんの「私だけの十字架」(『特捜最前線』。丸10年、509本のロングランとなったこの番組で、最初から最後までエンディングに流れ続けた)。
そして主演の天知茂さん自ら歌唱した「昭和ブルース」(『非情のライセンス』。オリジナルはブルーベル・シンガーズ。70年安保の挫折感を背景にもつ楽曲)。
こういった、70年代刑事ドラマのエンディング・テーマとして有名な楽曲群(すべて、オリジナル音源はサブスク配信なし)に共通しているのは、ただ「暗い」だけではなく、漂う重苦しい空気感の中にもなぜかホッとしたりもする、その微妙な塩梅でしょうか。
いうなれば、これらのエンディング・テーマには、いくばくかのなぐさめ、いたわりにも似たものが込められていました。だからこそ私たちも、安心して物語の終わりの余韻にひたることができたのだろうと、そう思うことができるのです。
これから先、この辺のドラマをごらんになる機会がもしあったら、そんなあたりにも思いをはせながらごらんいただければ、より一層味わいが深まる……かもしれません。
《memo》
さてここで、先ほど挙げた3曲のサブスク事情を、ご参考までに記しておきたいと思います(YouTubeには、あると思うのですが、基本的にイリーガルなものがほとんどだと思われるので、それは各自お探しください)。
基本的に3曲とも、オリジナル歌手によるオリジナル音源は、ストリーミング配信のサブスクで聴くことはできません(2026年3月現在。ダウンロード販売であれば、一部の曲に接することは可能かもしれませんが)。
『Gメン’75』の「面影」。これは「鳥取砂丘」でブレイクする少し前の水森かおりさんが、シングルのカップリング曲としてリリースしたものを、聴くことが可能です。この水森バージョンの「面影」は、シリーズ終了後に復活した『Gメン’75』のスペシャルドラマでも使用されたので、これはこれでオフィシャル、ということもできるかもしれません。
『特捜最前線』の「私だけの十字架」。これには近作のリメイクで流れた、(その出演者のひとりでもある)ベテラン俳優・笹野高史さんバージョン(発売・配信なし)のほか、さらに意外なカバーが存在します。
大槻ケンヂさん率いる筋肉少女帯が、アルバム『おまけのいちにち』の中で、石原プロ制作の刑事ドラマ『大都会〜闘いの日々』のテーマ音楽と共に、熱すぎるほどに熱く、カバーしており、これはどちらかというと「おっさんのカラオケ」に近いものを感じますが、これはこれでよし、みたいな感じであります。
そして『非情のライセンス』の「昭和ブルース」。これがちょっと困りものなのですが、天知茂さん、ブルーベル・シンガーズ、共にサブスク未配信で、あとは演歌・歌謡曲系アーティストによるカバーしかない中で、イメージとして天知茂さんバージョンに最も近いのは、同じ「歌う俳優」である根津甚八さんのもの。決して上手くはありませんが、フィーリング的にかなり近いものがあります。他にフランク永井さん、杉良太郎さんといった方々のバージョンがサブスクで聴けますが、いずれも天知茂さんのもつ独特のニヒルな雰囲気からは、かなり距離があるように思われます。(了)
