▶はじめに カクテル言葉とは
・カクテル言葉とは
ご存じでしたか?花や宝石などのように、お酒のカクテルにもそれぞれ意味があり、「カクテル言葉」とよばれていることを。
それぞれのカクテル言葉の由来は千差万別。カクテルの名前からの連想、味や見た目からの連想、カクテル誕生のエピソードとの関連など。カクテル言葉からカクテルそのものにまつわるストーリー・物語が見えてくることも。
この記事では、恋しているあなたにぜひ知ってほしい、ロマンティックなカクテル言葉を20個厳選して、ご用意させていただきました。
うまく相手に気持ちを伝えられないときは、カクテル言葉の力を借りてみるのもいいかもしれません。その意味を知って場面によってうまく使いこなせれば、直接、言葉で訴えかけるよりも効果的に恋のアプローチができちゃうかもしれませんよ?
・カクテル言葉の誕生
それぞれのカクテル言葉を見ていく前に、カクテル言葉が生まれたきっかけを見てみましょう。
ただし結論から言ってしまうと、カクテル言葉がどうやって生まれたのか、はっきりしたことはわかっていません。広まったのは20世紀に入ってからといわれています。通説ではアメリカの禁酒法がきっかけになったというものがあります。
アメリカでは1920年から13年間、禁酒法という法律がありました。お酒を飲んだり、造ることが法律で禁止されていたのです。これによってバーや酒場などは閉鎖を余儀なくされ、失業したバーテンダーは、職を求めてヨーロッパへ移住しました。その結果、それまでアメリカで栄えていたカクテル文化がヨーロッパ各地に波及し、カクテルと、ヨーロッパ特有の直接的な表現を避けて遠まわしに表現する文化が結びついて、カクテル言葉の誕生に結び付いたのではないかといわれています。
以上はあくまで推論ですが、アメリカとヨーロッパの二つの文化が出会うことによってカクテル言葉が生まれたといえそうですね。
それでは、いよいよそれぞれのカクテルと、その持っている意味をみていくことにしましょう!
(※記事の中に、ある仕掛けもございます。どうぞ最後まで読んで、その仕掛けをさがして、楽しんでいただければと思います。)
▶ネグローニ 「初恋」
初めに紹介するのはネグローニというカクテル。カンパリ、ベルモット、ドライ・ジンを合わせたカクテルです。
カクテル言葉は「初恋」。色は透き通った赤褐色で、ジンやカンパリのほろ苦さと、ベルモットの甘みを両方味わえるカクテルとなっています。初恋を思い出すと、甘いようなほろ苦いような複雑な気持ちになることからついたのかもしれませんね。
▶アイ・オープナー 「運命の出会い」
アイ・オープナーとは「目を見張らせる物」「驚くべき物」という意味です。カクテルの名称として考えると「目覚ましのための一杯」「寝起きの酒」などと解釈することもできそうですね。レシピは、ラムをベースにオレンジ・キュラソー、リキュール、卵黄などで作られています。力強く、独特な味がします。
カクテル言葉「運命の出会い」は、そうした味のインパクトから生まれたのかもしれません。
▶スクリュードライバー 「あなたに心を奪われた」
ウォッカにオレンジジュースを混ぜ合わせたのがスクリュードライバーです。
カクテル言葉は「あなたに心を奪われた」。イランで働いていた作業員が、即席のカクテルを作りました。ステア(混ぜ合わせる)するために使用したものが、工具のスクリュー・ドライバー(ねじ回し)だったことからこの名前が付いた、とされています。フルーティーで飲みやすく、女性にも人気のカクテルですが、ウォッカの分量によっては度数が高いので飲みすぎには注意です。
▶ウォッカ・ギブソン 「かくせない気持ち」
ウォッカをベースにドライベルモットを混ぜ、パールオニオンを沈めた見た目も美しいカクテルで、ドライなテイストとガツンとくるのど越しが人気です。
カクテル言葉は「かくせない気持ち」。無色透明なカクテルなので、パールオニオンは隠れることが出来ないから、こんなカクテル言葉がつけられたのでしょうか。
▶テキーラサンライズ 「情熱的な恋」
テキーラサンライズはテキーラに適量のオレンジジュースを入れて作られます。オレンジを朝焼けの空、グラスの底のグレナデン・シロップを太陽に見立てこの名前がついたとされています。見た目にもきれいなカクテルで人気ですね。
カクテル言葉は「情熱的な恋」。昇る朝日と、情熱的な恋のエネルギッシュなイメージがマッチしたのでしょう。
▶バイオレットフィズ 「私をおぼえていて」
バイオレットフィズは、バイオレットというスミレのリキュールをベースにしているカクテルです。見た目も紫色でキレイなのでインスタ映えしますよ。飲み口もレモンの風味が効いていて爽やかなので、飲みやすいカクテルです。
カクテル言葉は「私をおぼえていて」。別れ際にサッと注文したら、相手はドキッとしてしまうかもしれませんね。
▶アプリコットフィズ 「振り向いてください」
アプリコットブランデーにレモンを入れ、ソーダ水でグラスを満たせば出来上がるのがアプリコットフィズです。甘い香りとさっぱりとした清涼感ある味わいが楽しめます。
カクテル言葉は「振り向いてください」。16世紀のイタリアの画家、ベルナルディーノ・ルイーニが、絵のモデルの女性と恋におちてしまいます。この時に相手に贈ったのがアプリコットブランデーの原型だったことからこのカクテル言葉がつけられました。ロマンティックなエピソードを持つカクテルです。
▶ワインクーラー 「私を射止めて」
ワインとオレンジジュースにクラッシュドアイスを使った、清涼飲料水的なフルーティーで夏向きのカクテルです。色もピンク系でSNSにあげても映えますね。基本はロゼワインを使いますが、赤ワインでも白ワインでも実はOK。
そんなワインクーラーのカクテル言葉は「私を射止めて」。ぜひ、夏の夜に意中の相手にふるまってみてはいかがでしょうか?
▶モヒート 「心の渇きをいやして」
タンブラーにミントの葉、ライム、砂糖を加え、その上にラムとソーダ水、最後に氷を追加してつくるカクテル。爽やかなミントの香りとライムの酸味、それにラムのコクと甘みを楽しめます。
カクテル言葉は「心の渇きをいやして」。スペイン語の、mojar (濡らす)に由来するモヒートの語源から連想されたのでしょうか。ちょっと意味深でアダルトな意味を持つカクテルですね。
▶スコーピオン 「瞳で酔わせて」
有名な星座の一つ、さそり座(Scorpion)に由来する、ハワイ生まれのカクテル。ホワイトラムをベースにブランデー、オレンジ・ジュース、レモン・ジュース、ライム・ジュースを加えて作られます。3種の柑橘類のジュースを使用するのが特徴で、色も明るい黄色をしています。口当たりの良さから飲みやすいと思われがちですが、アルコール度数は高め。そのため、結果として気づいた時には酔いが回っていることから、サソリの毒にたとえられることもあります。
カクテル言葉は「瞳で酔わせて」。じっと相手を見つめながら飲んでみてはどうでしょうか?
▶ハバナビーチ 「夢中」
葉巻タバコで有名なキューバの首都ハバナからネーミングされたカクテルで、ホワイトラムをベースに、パイナップル・ジュースがたっぷりと入っているので飲みやすく女性にも人気のカクテルです。ラムとパイナップルの酸味、シロップの甘みが、バランスの良い飲み口を生み出します。
カクテル言葉は「夢中」。目の前の相手に「あなたに夢中よ」とアピールするのにぴったりかもしれません。
▶カクテル言葉の小話 5月13日は「カクテルの日」
1806年、アメリカ・ニューヨークの週刊新聞「バランス・アンド・コロンビア・リポジトリ」に「カクテル」という名称が初めて登場しました。その翌週の5月13日、読者からの問い合わせに対して「カクテルの定義」が初めて文書化されています。それによると、カクテルとは「酒(種類は何でも良い)に砂糖と水とビターを混ぜた興奮飲料で、俗に「ビタースリング」と呼ばれる」と書かれています。
この出来事を記念して、アメリカでは5月13日が「カクテルの日」として広く知られることになりました。
日本では2011年に4つの団体により、この日が「カクテルの日」と認定されています。
▶雪国 「恋を占う」
山形県酒田市の井山計一さんが1959年に発表した日本発のカクテルで、レシピはウォッカをベースに、ホワイト・キュラソー、ライム・ジュース、ミント・チェリー、あるいは、緑のマラスキーノ・チェリー1個を使います。カクテルグラスのふちにグラニュー糖をまぶした「スノースタイル」と呼ばれる、見た目にもキレイなカクテルです。
小説「雪国」にちなんで、カクテル言葉は「恋を占う」。雪国を飲みながら自分の恋愛を占ってみるのも一興ですね。
▶ベルベットハンマー 「今宵もあなたを想う」
映画「カクテル」にも登場するカクテル。カルーアコーヒーリキュールの濃密な香りと、ブランデーの香りがあいまって、ハンマーで甘い一撃をくらわされたような味わいを楽しめます。甘みが強いので、食後のデザートカクテルとしてもおすすめ。
カクテル言葉は「今宵もあなたを想う」です。このカクテルを飲みながら、好きな人のことを想ってみるのもいいかもしれませんね。
▶カカオフィズ 「恋する胸の痛み」
カカオリキュールをベースに、レモンジュース、シュガーシロップを加え、ソーダ水で満たしスライスレモンとマラスキーノチェリーを飾ればできあがり。ほんのりと甘く香ばしいカカオの味と、はじける炭酸が楽しめるカクテルです。お風呂上り、汗をかいた後にぴったり。さっぱりとした味がお好みの方におすすめのカクテルとなっています。
カクテル言葉は「恋する胸の痛み」。なかなかうまくいかない恋愛中にこのカクテルを飲むと、少しすっきりするかもしれません。
▶アメリカーノ 「届かぬ思い」
ビター・ベルモットとスイート・ベルモットを炭酸水で割り、香り付け用にレモンの皮を絞って作る、イタリア生まれのカクテルです。カンパリを使用するレシピもあります。 こちらのレシピでは、スイート・ベルモットのすっきりとした甘みのなかにカンパリの苦味が感じられるのが特徴的で、海外では食前酒として楽しまれています。
カクテル言葉は「届かぬ想い」。甘くて苦い、まさに届かぬ片想いにぴったり合いますね。
▶ギムレット 「遠い人を想う」
1890年頃、イギリス海軍の軍医ギムレット卿が、艦内でのジンの飲み過ぎを憂いて、ライム・ジュースを混ぜて飲むことを提唱したことが起源といわれています。レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説「長いお別れ」の中の代表的な台詞、「ギムレットには早すぎる」で有名になったカクテルです。
カクテル言葉は「遠い人を想う」。過去にお別れした人を想ったり、今は会えない離れた人を想いながら飲むと雰囲気を楽しめるのではないでしょうか。
▶オリンピック 「待ち焦がれた再会」
ブランデーベースでフランス産まれのカクテル。「ホテル・リッツ・パリ」で作られたといわれています。1900年にパリで開催された第2回オリンピックを記念して作られたカクテルです。ブランデー、オレンジ・キュラソー、オレンジジュースでつくられていて、ブランデーのコクを更に深めているカクテルです。
カクテル言葉は「待ち焦がれた再会」。会いたい想いが募って、ようやく再会できた意中の人と飲むのにぴったりのカクテルですね。
▶ロブ・ロイ 「あなたの心を奪いたい」
18世紀のスコットランドに実在した、義賊の通称に由来するカクテル。後の小説などによって、ロブ・ロイは悪徳な貴族と戦う、庶民の味方としてのイメージが定着しました。スコッチ・ウィスキー、スイート・ベルモットでつくられます。鮮やかな赤色が美しく、アルコール度数のわりに甘味があって飲みやすい飲み口です。
カクテル言葉は「あなたの心を奪いたい」。本気の相手に対して、積極的にアプローチしたい時におすすめのカクテル言葉ですね。
▶シェリー 「今夜はあなたにすべてを捧げます」
シェリーは正確にはカクテルではなく、スペイン・アンダルシア地方でつくられている白ワインの一種です。さまざまなバリエーションがあり、世界中で愛され日本でも高い人気をほこります。味も甘口から辛口まで多種多様。せっかくですから色々な味を楽しんでみたいところですね。
カクテル言葉(酒言葉)は「今夜はあなたにすべてを捧げます」。細かく説明するとR18指定の記事になってしまうので、これで察して下さい。女性が男性にこれを出せばそういう意味ですので、色んな意味で覚えておいた方が良いでしょう。
▶XYZ 「永遠にあなたのもの」
何とも謎めいたこのカクテルの名称の正確な由来は不明とされており、一説には、アルファベットの最後であることから、「これ以上のものは無い究極のカクテル」という意味合いがあるともいわれています。他にも、「今夜はこれで終わり」という意味で、つまり寝酒を表すという説も。標準的なレシピはラムをベースにコアントロー、レモン・ジュースを加えて作られます。
カクテル言葉は「永遠にあなたのもの」。数あるカクテル言葉の中でも、おそらく一番有名で、愛の告白やプロポーズにこれ以上のものはないのではないでしょうか。ここが勝負!というポイントで使いたいカクテル言葉ですよね。
▶おわりに
ここまで20のカクテル言葉を紹介させていただきました。
文中の仕掛けにお気づきでしたでしょうか?
実は、一つのストーリーになるようにカクテル言葉の紹介を配置してみたのです。
「初恋の人に偶然再会して、心を奪われ楽しいひと時。ふたりでデートを重ねるうち彼への好意が芽生える。やがて転勤・卒業など環境の変化で離れてしまうが彼への気持ちは募るばかり。意を決して告白すると、彼もあなたのことを好きでいてくれた。めでたく二人は結ばれてハッピーエンド。」
こんなところでしょうか。
こんなロマンティックなことが現実に起こるかどうかはさておき、カクテル言葉に想いをのせて、バーで気になっている人と一緒にカクテルを楽しんだり、カクテルの写真をSNSに投稿してみるのもいいかもしれませんね。写真が映えるInstagramなどがいいかもしれません。
わかる人にだけわかるという、暗号っぽいところもミステリアスでおもしろいですね。知り合いがそれを見てフォローしてくれたり、さりげなく相手に意味を伝えてくれるかも。ただし、使い方にはくれぐれもご用心を。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
あなたの恋がもっと輝くことを、心からお祈りしています。
おわり