食用の香料やエッセンスは何でできているか?
このブログ記事を読んでいる皆様の中には、
食用香料のバニラエッセンスはバニラビーンズから、オレンジオイルはオレンジの皮から作っている、
と思っておられるお方も多いことでしょう。
塩やコショウもどの銘柄でも同じ成分と香り、
と考えておられませんか。
それは、ある程度当たっていて、ある程度間違いです。
食用エッセンスの成分とは
良質な食用エッセンスは、確かにバニラやオレンジの皮を大部分の原料にしているものがあるのですが、某100均ショップ等で売っているものの中には、今、かなり評判の悪い言い方をすると、「合成香料」が結構な割合で入っているものもあります。
(皆様が思っているほど「合成香料」は体に悪いものでもありませんが・・・)
また、本物の材料を使うと体に悪い、という天然素材もあるので、そういったものは安全な素材で似たような香りを作る必要があるのです。
例えば、「アーモンドの香り」などは、本物の「よい香り」のビターアーモンドを使用して高濃度で作るとまさしく「毒物」になってしまうので、違う素材である程度似た香りを作る必要があります。また、食用のエッセンスやオイルは、天然香料と合成香料の混交物の場合、複数の天然香料混合物の場合もあります。
こういう「食べ物に付ける香り」を作る作業をする人を、「フレーバリスト」と呼びます。
アロマテラピストとフレーバリストの違いとは
今流行中の「アロマテラピー」を行う方々は、「アロマテラピスト」と呼ばれ、天然100%の素材から抽出した「精油」「エッセンシャルオイル」と呼ばれる素材と、その他の基材を使ってトリートメントを行ったり、アロマ香水を作ったりするお仕事の人たちです。基本的に、「食べない香り」「身に着ける香り」を作る人たちになります。これは、民間の資格が必要になります。
余談ながら、「シャネルの5番」などの「香水」を作るような作業をするお人は、「パヒューマー」と呼ばれております。いろいろな素材を使って「美しい香り」を作るのに特化していて、特別なセンスと感覚が無いと務まらないお仕事です。
それから、特に精油、アロマオイルの類は、日本の雑貨店や100円ショップで購入すると、あまり感心しない成分が入ったものを平気で売っていたりするので、信用ができる専門店で購入された方がよろしいでしょう。
それに対して「フレーバリスト」とは、「食用のいい香り」を作る人たちになります。
食用の香り、フレーバーとは、直接口に入るものなので、厳しい規制があります。
バニラエッセンスやバニラオイル、その他の食用香料を作って販売するには、少なくとも関係者に薬剤師か薬科大卒業者が在籍していることが必要で、また、事業許可を得るのも大変な事です。
手作りの食用香料を作るには
しかし、自分で食用香料を作って自分でお菓子や料理作りに使うなら、全く法規の外という事になっております。バニラエッセンスを作りたければ、ウォッカを買い、バニラビーンズを10本(2023年現在、安ければ6千円程度で購入できます。)ほど買い求めて食用の高濃度アルコールであるウォッカの瓶に入れて1ヶ月漬けて待てば、当分使える分量のバニラエッセンスができます。
バニラオイルにしたければ、「製菓用ごま油」を購入して、2ヶ月ほど漬けておけばバニラオイルが出来ます。市販品より少し薄いものになり、分量を多く使わなければいけませんが、家庭用としては十分役に立つものになります。
同じように、ハーブや香辛料をウォッカやオイルにつけると、フレーバーエッセンスやオイルができます。
レモンオイル、オレンジオイルなども作れないことはありませんが、これはプロの作ったものの方が「良い香り」になります。市販のオレンジやレモンは、実の皮を香料に使うオレンジやレモンとは品種が違うからです。
ただし、手作りの食用香料を有償で人に譲った事が発覚すると厳罰の対象になるので、くれぐれも注意してください。
食用香料と人それぞれの相性
高価なエッセンスの方がよいものかというと、そうでもありません。フレーバリスト様の香りの調整の加減で、使う人の好き嫌いに合うかどうかが決まるからです。
高価なエッセンスが好みに合う人も、良心的な価格のエッセンスが好みに合う人もいて、
人それぞれという事になります。
また、プロのシェフやパティシエ様の場合等は、その人の個性が作っているお菓子のレシピに出るので、相性の合うフレーバーというものがそれぞれの人によって違います。
例えば、一言でバニラエッセンスと言っても、ざっくり分けて、ブルボン種のバニラビーンズを主体にして作ったものと、タヒチアン種のバニラビーンズを主体にして作ったものがあり、それぞれのパティシエ様のレシピに似合う香りが違うのです。
私の感覚では、ブルボン種のバニラは生真面目で端正な香りで、タヒチアン種のバニラは奔放で蠱惑的な感じの香りと思います。
産地による香りの微妙な違い
そして、同じ品種の香辛料植物や、全世界で同じ物質である食塩であっても、産地によって香りや味は微妙に違うのです。
極端な話ですが、同じ品種のマダガスカル産のバニラと、石垣島産のバニラでは、わかる人にとってははっきりと香りが違います。
そういうタイプのお人は、同じダマスクローズでも、イラン産よりブルガリア産の香りの方が好み、とおっしゃったりもします。
農産物であるコショウも、香りが産地によって違い、これまたシェフや香料業者との相性があり、複雑で面白いものです。
塩化ナトリウムが主成分であるも、海の塩か、岩塩か、どこの産地の塩か、製造法の違いによっても、不純物等の割合等でも味が変わります。
これらの知識を頭に入れて、お菓子や料理のエッセンスやハーブや塩コショウの味と香りを楽しまれると、外食やお料理や菓子作りがさらに楽しくなる事と思います。
参考にしたサイト
ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%8B%E3%83%A9