「そういえば……希空、そろそろあなたがうちに来て一年になるね。何か欲しいものはある?」
腕の中の私を撫でながら、微笑むイヴに「はーい!」と手を挙げる。危ないよ、と笑いながらその手を取るジェイドに、私は鼻息も荒く告げた。
「きょうだいがほしい!」
「……そっか。ジェイドはどう思う?」
「お、俺に訊くのか……まあ、イヴさえよければ……俺も、家族が増えたら嬉しいとは、思う」
「ほんと? じゃあやくそくね、ぜったいだよ!」
「ふふ、でもすぐには無理かなあ。だから今日は、希空にこれをあげる」
言葉と共に、ころん、と掌に角砂糖にも似たものが転がる。食べちゃだめだよ、と笑いながら、イヴは私の掌ごとそれを包んで。
あたたかくて、優しい光がイヴの手からあふれる。それが私の手に吸い込まれて、ほわりと全身に広がっていった。
「これはね、今日から希空のもの。あなたの好きなように使っていいよ、秘密基地にしてもいいし……友達をたくさん招待するのもいい。
だからどうか、大切にしてね。絶対に、あなたのためになるものだから」