「んー、でもどうしようかなあ。イヴ本人の力が事実改変なのは僕が証人だよ、ついでに弱点も教えてあげよう。
——ひとつ、他の神に直接影響を及ぼすような使い方はできない。
ふたつ、自分に関する事実は変えられない。
みっつ、世界の成り立ちのような、変えてしまえば滅亡につながるような事実は変えられない。
よっつ、目の前で改変された事実に関しては、自分に直接関係ないことなら『間違い』だと認識できる。
いつつ、加護を持ち、事実改変の存在を知る者は認識を歪められることはない。ここ大事だよ、テストに出るからね!」
なんのテストだよそれは。
「でもなるほど、だからサイラスの体内にあった銃弾には干渉できないまま……襲撃の事実だけが消えて、銃弾もまた取り出されたことにより消滅したと」
「そういうことだろうね。で、問題なのが『それ』を認識できるのは僕たちだけである上、物的証拠が消えちゃったこと。
物さえあれば、突きつけることもできるんだけど……相手もそれを理解してるだろうから、大方消されちゃっただろうね。諸々の履歴も同じ理由で消されてそうだ」
『そうなると、犯人はイヴ……というより、彼女を操っているジェイドで確定、という感じですかね』
「決めつけは良くないけど、銃の数とかを考えればそうだろうね。希空だって昨日、ジェイドのお使いの途中で事実改変に遭ったみたいだし。
……あえて訊くよ、ショックかい?」
青い瞳が、まっすぐに私を見据えている。私の中で出た結論は、自分でも驚くほどに——心に波を立てることなく、事実として通り過ぎていった。