アダムはいなかった 「痕跡」7

「大正解。よく気付いたね、偉いよ」

「ですが……今更それについてどうこう言っても、証拠なんてどこにも残ってないんじゃ……」

「……それについて、なんだけどさ。ジェイドがイヴを殺害したのが十年前。そして『太陽の聖櫃』本部ができたのは?」

「その次の年、です。雨によって一か月もしないうちに、全て沈んでしまったので……しまい込んでいた『方舟』が唐突に巨大化して、私たちを呑み込んで。当時はイヴに渡されていたものとは知らず、あたふたしていたので曖昧ですが」

 正直思い出そうとしても、当時の記憶はほとんどない。大きなストレスについて思い出せなくなるのは、自分の心を守るためだと聞いたこともあるがどうだったか。

『じゃあジェイドは一瞬で全てを察して、色々設備を整えにかかったってことか』

「だろうね、それじゃあ最後の質問。
 ……食器棚に残ってる、ボロボロのカトラリーだけど……ジェイドのものって言ったよね。あれ、いつから使ってた?」

「……十年以上、前です……! 三人でお揃いにしようって買って、それ以降ずっと使ってた!」

「なるほどね。だよね、そうでもなければ消耗品として取り替えるだろうし。
 ……勝てるかもよ、希空。君が反撃を望むなら、僕ら全力で付き合おうじゃないか」

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静海

小説を書くこととゲームで遊ぶことが趣味です。ファンタジーと悲恋と、人の姿をした人ではないものが好き。 ノベルゲームやイラスト、簡単な動画作成など色々やってきました。小説やゲームについての記事を書いていこうと思います。

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