「大正解。よく気付いたね、偉いよ」
「ですが……今更それについてどうこう言っても、証拠なんてどこにも残ってないんじゃ……」
「……それについて、なんだけどさ。ジェイドがイヴを殺害したのが十年前。そして『太陽の聖櫃』本部ができたのは?」
「その次の年、です。雨によって一か月もしないうちに、全て沈んでしまったので……しまい込んでいた『方舟』が唐突に巨大化して、私たちを呑み込んで。当時はイヴに渡されていたものとは知らず、あたふたしていたので曖昧ですが」
正直思い出そうとしても、当時の記憶はほとんどない。大きなストレスについて思い出せなくなるのは、自分の心を守るためだと聞いたこともあるがどうだったか。
『じゃあジェイドは一瞬で全てを察して、色々設備を整えにかかったってことか』
「だろうね、それじゃあ最後の質問。
……食器棚に残ってる、ボロボロのカトラリーだけど……ジェイドのものって言ったよね。あれ、いつから使ってた?」
「……十年以上、前です……! 三人でお揃いにしようって買って、それ以降ずっと使ってた!」
「なるほどね。だよね、そうでもなければ消耗品として取り替えるだろうし。
……勝てるかもよ、希空。君が反撃を望むなら、僕ら全力で付き合おうじゃないか」