「そうだと、いいんだけどね。
……あ、そうだ。サイラス、この弾丸ひとつじゃちょっと心配だから……ちょっと力、貸してほしいな」
「ぼ、僕は便利な力発生器とかじゃないもん」
「もんって……まあいいや、それじゃ言い方を変えるよ。なんて言えばいいかな……あ、そうだ。
……私一人じゃ、さすがにできそうもないからさ。『助けて』くれる?」
言葉と共に、差し伸べた手を取り。「いつから気付いてたのさ」と、サイラスは泣き笑いを浮かべた。
「割と最近かな、ひらめきってすごいね。
……さて、それじゃあ始めようか。みんなが待ってるからね」
「うわ、なんか軽くあしらわれた気がする!
……でもまあ、仕方ないな。『助けて』あげるよ、それが君の願いとあらば」
重ねた手を握り込んで、私は真上に銃を向ける。
「天井が落ちてきたら危ないから、上に向けて吹っ飛ばすくらいの勢いでお願いね」
「了解。それじゃあやろうか、準備は?」
「もうできてるよ、やっちゃおうか」
引き金に指をかける。隣でサイラスが笑っていた。
「ねえ希空、この先君は外に出るのかい?」
「うん。なんなら旅がしたいって、アレクと話してたくらいだし……一緒にさ、色んなところを見て回りたいな」
「もちろんいいよ、君のためならなんだって」
まったくこいつは、私に甘すぎやしないだろうか。でも今こうして、私が笑顔でいられるのはきっと彼のお陰だ。
……目を閉じる。流れ込んでくる力と共に、今まで流れた涙を吹き飛ばすくらいの気持ちで。深く息を吸って、静かに目を開けた。
そして——轟音が、響く。