カバー曲を聞いていいなと思うことは少ないです。どうしても元の曲を思い出して比較してしまいます。カバー曲に違和感を感じて、やっぱり原曲がいいと思うのです。前はライブ映像でもそう思うことがありました。CDで聞いた曲と比較してしまい、ライブ映像に違和感を感じてしまっていたのです。自分がアドリブに弱いことと関係があるのかもしれません。
そんな自分ですが、原曲を先に聞いていても、いいな、と感じたカバー曲があります。1つ目は、藤原さくらの「春の歌」です。たしかNHKの「うたコン」で聞きました。正直に申し上げますと、最初は特徴のある声に惹かれたんだと思います(気持ち悪い話で申し訳ありません)。スピッツの曲より角がとれていてやわらかい感じがすごく聞きやすかったです。別の歌手の方の歌をこんなに雰囲気を変えてかつ魅力的にするのに驚きました。スピッツのほうは強い風を感じる日中の情景であれば、藤原さくらのほうはぽかぽかで無風の日や、風が凪いできた夕方の情景でしょうか。
2つ目は、鬼束ちひろの「守ってあげたい」です。アルバム「SINGLES 2000-2003」で聞きました。このかたの自作曲は暗いものが多い感じがします。そのイメージがあるだけに、「守ってあげたい」の雰囲気(明るい曲調の中に暗い内容の歌詞が入っている)にも、しっとりなじんでいるような気がします。バックで流れている弦楽器(チェロでしょうか?)が暖かいです。何かを包み込むようです。なぜか過去を思い出しているようでもあります。過去を懐かしんでいるような、愛おしんでいるような。歌詞の暗さとチェロの暖かい雰囲気から、雲から差し込む光のような幻想的な雰囲気が思い浮かびます。
3つ目は、ミシェル・ペトルチアーニ、スティーヴ・ガッド、アンソニー・ジャクソンの「A列車で行こう」です。ジャズ入門の本(『ジャズを読む事典』富澤 えいち 著、生活人新書 だったと思われます)でミシェル・ペトルチアーニというピアニストの「ライブ・アット・ブルーノート東京」(輸入盤だと「TRIO IN TOKYO」)というアルバムが紹介されていました。始まりのピアノの音が、まさに汽車が動いているようなリズムで躍動感がある演奏です。一般的な演奏では紳士淑女が旅を楽しんでいることを思い浮かべますが、このアレンジでは子どもがわくわくして列車に乗っていることをイメージします。初めて汽車を見た感動みたいなものが伝わってくるようです。ウィキペディアで調べたら、列車は「ニューヨーク地下鉄A系統」のことを指しているそうです。汽車じゃないんですね。なんか意外でした。音楽からは、楽しい旅行などが思い浮かぶのですが、、、。間違いでした。当時(1939年頃)は、乗るだけでみんな心躍らせる乗り物だったのでしょうか。
参考資料
- ウィキペディア
- 『ジャズを読む事典』富澤 えいち 著、生活人新書(別の本かもしれません)