冬が来た
周りの木々は寒いのに裸になった
黒松は変わらずとがった緑の葉を着けていた
他の樹々がおびえるように葉を脱ぎ捨てたのに
黒松は力強く粘り強い樹から出た針葉を堂々とさらしていた
あなたがいつも変わらずそこに在ったことに俺は気づかなかった
我々の感情や思考や肉体は例外なく変わり続ける
決して定まりのない無常の世の中で
一瞬一瞬存在している不安定な存在にすぎないのに
黒松よ!あなたはなぜそんなにも不動で力強く鋭いのか
変わることなく冬の厳しさをものともしない生命力を
憧憬をもって俺は見つめた