こんにちは。
突然ですが、あなたは寿司が好きですか?
わたし自身は寿司に目がありません。
寿司店に行くと、どのネタを頼もうか、毎回悩んでしまいます。
寿司のネタは海の恵み。当然その時々で「旬」というものがありますよね。ではあなたの好きな寿司のネタ、一番おいしい季節はいつか知ってますか?
今回は、そんな寿司の「旬」な季節をネタにしてみました。「旬」を知れば、もっとおいしく寿司を食べられるはず。せっかく寿司を食べるなら、寿司の「旬」を意識してみましょう。
それではさっそくお話させていただきます!
目次
春が旬の寿司ネタ
初がつお 4月~5月
春から夏にかけてエサを求めて太平洋を北上するかつおを上りガツオと呼び、秋に脂肪をたくわえて南下するものを戻りガツオと呼んでいます。
「初もの」を好んだ江戸っ子たちにもてはやされたことから、かつおの旬は春。
ほんのりとした甘さと、ちょっとクセのある味がたまりません。
寿司ネタに使われるようになったのは昭和に入ってから。ちょっと意外ですね。
あじ 5月~9月
あじはクセが少なく、食べやすい味が魅力の大衆魚。
江戸時代ごろは酢締めで食べられていましたが、冷蔵技術の進歩した高度経済成長期からは生で握られるようになりました。
現在では各地にブランドアジが生まれ、親しまれています。
薬味と一緒に食べると、独特のうまみがさらに際立ちますね。
まだい 11月~5月
たいは結婚式などおめでたい席では必ずと言っていいほど目にする魚ではないでしょうか。
近年は養殖ものが主流になったので、だんだんと「旬」という意識は薄くなっているかもしれません。
天然ものは脂の少ない締まった身ですが、養殖ものは脂の甘味がしっかり味わえるのが特徴。市場まで生きたまま出荷されるなど、高い鮮度を保つためにさまざまな工夫がされています。
夏が旬の寿司ネタ
すずき 6月~8月
成長するたびに名前が変わる出世魚で、その名前は古事記にも登場。古くから日本人に親しまれている魚です。
脂がたっぷりのっていることから栄養価が高く、夏場の栄養補給に最適と考えられてきました。江戸時代は将軍の食膳にも上っていたほどです。
やわらかな歯ごたえの白身と、ほんのりとした甘みが味わえて、くさみがない食べやすいとして人気のネタになりました。
冷水で身を引き締める「洗い」は、暑い夏に涼を感じられておすすめの一品です。
かんぱち 6月~8月
夏の白身魚として人気のぶりの仲間。そのなかでももっとも大型で上等とされています。
特に夏にとれた天然ものは、脂の濃厚なうま味と口の中に残る甘味がたまらない一品。
近年は鮮度の高い養殖ものも増えてきました。養殖ものは一年中脂ののった状態で楽しめます。この養殖の普及によって、高級店だけでなく回転寿司でも食べられるようになったのはうれしいですね。
あいなめ 6月~8月
寿司ネタとしては、夏の白身の代表格の一つ。
油を塗ったようなヌルヌルの体表から「あぶらめ」とも呼ばれています。もちろん身にも脂たっぷり。見た目もツヤツヤで食欲をそそられます。
昔から味の良い白身魚として有名で、日本各地におもしろい別名を持っています。
白身とは思えないほど濃厚な甘味とうま味があり、とても上品な味。しこしことした舌ざわりも格別です。
ほたて 6月~8月
さっくりとした口当たりと、上品な甘味が人気の寿司ネタ。食べるのはもっぱら太くて大きな貝柱の部分です。
おもな産地は北海道や東北などで、北国の水産業を支える水産物となりました。
養殖が普及してからは養殖ものがほとんどなので旬もあまりなくなってきていますが、食べごろなのは貝柱がもっとも大きくなる夏場でしょう。
生で握られることが多いですが、サッと煮て出される場合もあります。
秋が旬の寿司ネタ
さんま 9月~11月
寿司に限らず、日本人に親しまれてきた秋の風物詩。
近年は深刻な不漁が続き、値段も高騰していますが、それでもやはり脂ののったさんまは食べたくなりますよね。
春から夏にかけて北海道まで北上し、秋に再び南下しますが、その時にエサをたくさん食べて脂がのっていきます。ですので食べごろはやはり秋ということになりますね。
寿司の場合は、しょうがなどと一緒に食べるとくさみが消えて、さんま本来の味が楽しめるのでおすすめです。
しめさば 9月~1月
鮮度を保ち、うま味を引き立てる昔からの食べ方がしめさば。
さばは鮮度が落ちるのが早く、味が悪くなりやすい魚です。そこで考え出されたのが酢締めにして食べることでした。
冷蔵技術の進歩した今では生で食べることもできますが、酢締めにすると、さば本来の甘さとうま味が増すことから、今でも酢で絞めて食べられています。
酢の香りと酸味、そしてさばのうま味という奥深い味わいを楽しめる寿司ネタとして人気です。
いくら 9月~11月
いくらとはロシア語で魚卵の意味。サケのたまごをほぐしたもので、サケの身より高級品です。
明治時代にロシアから加工法を教わり全国へ普及しました。
食用にされるのは、川を遡上する前に沿岸の定置網でとったサケのたまごです。
寿司ネタとしては、一般的に塩漬けやしょうゆ漬けを軍艦巻きにして握られます。
ややねっとりとした舌ざわりと甘みをバランスよく楽しむことができる人気のネタ。少し高級ですが、ぜひ楽しみたいですね。
かき 10月~2月
かき鍋やかきフライ、蒸しガキなどでおなじみですが、寿司ネタとしてはまだまだマイナーです。
そんなかきの産地は宮城県や広島県など。
養殖が始まったのは室町時代や江戸時代といわれ、日本人とは長い歴史を持つ海産物。
生のほか、酒やしょうゆで煮たものを握ることもあります。独特な甘みと苦味が混ざった複雑なうまみが魅力の寿司ネタです。
冬が旬の寿司ネタ
ぶり 12月~2月
寒ブリという言葉がある通り、ぶりの旬は冬。
エサをたくさん食べた冬のぶりは、まぐろ以上に脂がたっぷりのって濃厚な味。あまりに脂が多いので、しょうゆがはじかれてしまうほどです。
ぶりが何魚なのか諸説あるようですが、冬のぶりは白っぽく見えることから、白身魚とする説がやや有力なよう。
ぶりは養殖ものも多く、養殖ものも脂たっぷりなので若者たちに人気があります。
中トロ(本マグロ) 10月~2月
寿司ネタの代名詞ともいえるまぐろ。実は江戸時代にはほとんど食べられていなかったって知ってましたか?今のようにマグロが人気になったのは大正時代に入ってからなんです。
口いっぱいに広がる脂の甘みと、とろりとした食感がたまりませんよね。
中トロは半分赤身なので脂と赤身の甘みがバランスよく食べられることから、マグロの中でも不動の一番人気といわれています。
また味だけでなく、見た目の美しさも寿司ネタ中ナンバー1といっていいでしょう。
えんがわ 9月~2月
えんがわとはヒラメのヒレ筋を動かす筋肉のことです。1尾のヒラメから4枚しかとれないので、とても希少です。もちろん価格的にも超高価。
回転寿司などで見かけるえんがわは、残念ながらカレイのものであることが多いとか。
コラーゲンが多いためコリコリした食感が楽しめ、かめばかむほどじんわりしみる脂のうまみがたまらない一品。寿司店で見かけたら、ぜひ一度お試しください。
ぼたんえび 12月~2月
国内の主な産地は富山県、北海道の噴火湾など。
その華やかな姿が牡丹の花をイメージさせるので、ぼたんえびという名前が付いたそうです。
生命力が強いので、市場によっては生きたまま入荷することも。アラスカやロシアから冷凍輸入される場合もあります。
濃厚な甘みと弾力のある食感で人気の寿司ネタです。えびの頭部も一緒に出されることが多く、見た目にも色どりを添えてくれますね。
旬の寿司をおいしくいただこう
以上、季節ごとの「旬」な寿司ネタについてお話してきました。いかがだったでしょうか?中には少し意外な「旬」のものもあったかもしれません。
最近ははまちやサーモンなど養殖ものが増え、多くの寿司ネタが時期を問わず楽しめるようになってきました。
とはいえ、やはり「旬」を知って食べるほうが、何倍も寿司を楽しめるというもの。ぜひ、この記事を参考に、寿司をおいしく楽しんでみてくださいね。
それでは今回はこの辺で。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
おしまい
参考資料:「寿司の教科書 決定版」宝島社 2015年