こんにちは!きんいろ旅程です。
先日、東京競馬場で行われた第84回オークス(3歳牝馬・GⅠ)をご覧になりましたか?
川田将雅騎手が騎乗した1番人気リバティアイランドが6馬身差の圧勝を飾り、見事牝馬2冠を達成しましたが、そのレースにはもう一つ注目すべきことがあったのです。
それは、発走直前に競馬場の観衆が一斉に静まり返ったこと。普段なら、ゲートが開く瞬間に大歓声が上がるところです。しかし今回はほとんど音がしませんでした。
それはなぜでしょうか?
実は、これは川田騎手の競馬ファンへの「お願い」に応えた結果だったのです。
川田騎手は、レース前の記者会見で、「競馬場にいらっしゃるみなさんに、少しお願いがあります」と切り出しました。このようなことは異例のことです。
「ファンファーレが鳴って、みなさんに盛り上がっていただく。それからゲート入りをして、最後の馬が入るときに、もう一度盛り上がる形になっているのですが、以前であれば、ゲートが開くまで我慢していただいていたところです。(中略)ゲートが切られるまでは、あと2秒ほど声援を我慢していただいて、ゲートが開いてから、全力で盛り上がってもらえればと願っています。」
川田騎手は、このように観衆に協力を求めました。
その理由は、3歳の牝馬は非常にデリケートで、観客の歓声などでテンションが上がってしまうと、スタートで失敗したり、レース中に集中力を欠いたりする恐れがあるからです。
特に東京競馬場の2400mレースは、大勢の観衆がいるスタンド前からのスタートになるので、歓声が競走馬のメンタルに与える影響は大きいと言わざるを得ません。最悪の場合、重大な事故にもつながりかねないのです。
実際、2022年のオークスでは、発走直前にサウンドビバーチェという馬が放馬してしまいました。その馬はレース前にテンションの上がった他の馬に顔を蹴られてしまい、騎手を振り落として走り出したのです。そのため、オークスのスタートは15分も遅れてしまいました。
大幅に発走が遅れたことで、1番人気だったサークルオブライフはゲート内でイライラして出遅れてしまい、12着という結果に終わっています。
そうした事態を防ぐためにも、川田騎手は自分の騎乗するリバティアイランドだけでなく、他の馬や騎手の安全やパフォーマンスも考えて、このような呼びかけをおこなったのです。
この呼びかけに応えて、競馬ファンは結束しました。普段なら大きな歓声が上がるオークス発走前に、川田騎手がお願いしたように「2秒間の静寂」を作り出したのです。それは騎手と競馬ファンが築き上げた絆ともいえるものでした。
このおかげで、レースは大きな出遅れなどもなく無事に終わりました。
川田騎手の呼びかけに応えてくれた観衆は素晴らしいと思います。一競馬ファンとして、とても誇らしく思います。
川田騎手もレース後、
「2秒待ってほしいというのを競馬場の皆様に聞いて頂いて、安全なスタートを切る事ができました。とてもありがたく思います。」
と感謝の言葉を述べていました。
競馬場はお祭り会場やクラブではありません。命をかけて走る馬や騎手を尊重し、応援する姿勢がなにより大切にされなければならないと思います。
これからも、馬や騎手の安全に注意を払いながら、きちんとルールやマナーを守って競馬を楽しんでいきましょう!
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