タイトルの通り、子供向けに書かれた著作権に関する解説書。発行は2019年となっているため、掲載されている著作権法自体はTPP施行直後になっている模様(文章の著作権は著作者の死後70年までとなっているという記述がある)小学生が読むには長い本だとは思うが内容自体はとてもわかりやすく、ネットで創作活動をしようと思っている中学生にぜひ読ませたい内容だった。
親告罪や引用に関しても分かりやすく書かれている。興味深いと思ったところは「日本は著作権関連の法律を決めるときに、適切な記述にしなかったから時代に合わなくなっている」ということ。だから海外より著作権関連のもめごとが多いとか…。
二次創作関連の記述はないが、大人であれば二次利用関連や親告罪のあたりを読めば概ね理解できるかと。
作中例に「アルプスの少女ハイジ」が挙げられていたが、「ハイジ」を書いたシュピーリの死後から50年(※TPP施行前の著作権保持期間)以上経った放送だったため、シュピーリの没年を知っており尚且つ著作権の保持期間の節を読めば「許可を取る必要はなかったのだな」と察することができる。そう考えると世界名作劇場において視聴困難な作品が少なからず存在する事例は、著者の持つ著作権や契約事項の関係が関連しているとも推測できる。
本書を読んでいて思い出したことは、とあるアニメのファンが視聴困難である本編の上映会を行ったこと。当時主催者は「利益を出さないことで合法的に行える」ような記述をしていたが、そういうことか!と驚いた。先述については視聴困難というところも大きかったとは思うが、上映に伴って利用者からお金を取らなければそういう方法も取れる可能性があるということを理解した。(先ほど調べたところ上記アニメの上映会は数回行われているが、現在に至り制作会社側から勧告もなかったようであるため、この法律を逆手に取っている可能性が高い。おそらく主催者は合法的な映像ソースであるセルVHSを持っていて、それを利用して無償の上映会を行っているようだ)
俳優は基本的に著作権を持たない、というところも興味深かった。「古いアニメで主演声優が鬼籍に入っている場合は権利元に許可を貰うときに問題にならないか?」と考えたことがあったが、俳優に限っては許可はいらないらしい。少なくとも遺族に許可を貰うことはなさそうである(つまり、古いアニメの視聴難易度に関しては当時の製作者側の契約に大きく依存するようだ)
著作権はインセンティブ(やる気を起こさせるような刺激や動機付け)のために制定されたという。著作権がなければコピーを容易にされてしまい、作家のモチベーションが落ちるからということらしい。趣味で創作をしている方やアマチュア作家を含んで考えるとここは非常に重要だし、著作権法がなければ漫画や小説の文化は今ほど発展していなかったことになる。そういう意味ではサブカルチャーを守るための大事な鍵とも言える。
大人が読んでも知らなかった情報を得られる可能性が高い本だと思う。というか、よっぽど著作権法に詳しい大人でもなければ普通に読み物として読みごたえがある。
