タイトルにつられて読んだ。平野氏の父親からの愛称が「家なき子」の主人公から取られていることは割と早い段階で言及されているが、普通自分の愛読書の推しの名前を息子のあだ名にするか、とは思う(笑)なお、平野氏の娘さんはかの有名な料理家で、名前も平野氏の愛称と同一だが、由来としては直接関係ないという話を聞いた(本当か?)
内容は一言で言えば平野氏が混血差別と戦う話である(目的がかなりはっきりしているため、個人的にはかなり読みやすい!)平野氏はおわりの方で「自分は白人との混血だったからまだマシな方で、黒人との混血はもっとひどい状況だった」というような内容を書いている。平野氏も混血児を支援する段階で理解したと思われる。
平野氏は裕福な家庭だったが、それでも白人である父親に反発を覚えることが多かったという。父親は平野氏が子供の頃はあまり日本に帰ってこなかったゆえに反発心も大きかったということだろう。しかし父親が帰国した後は微笑ましい時期だったのだと、母親と父親が亡くなる前の節で感じた。
また、平野氏は混血故に日本への愛国心がないと誤解されることが多々ある。(日本人のコミュニティが排他的だったということだろうか)心の故郷がどこか決めるのは自分自身であり、他人ではないという好例である。(※平野氏は戦前生まれであるため、上記のことが大きく関わってくる。)
差別されればそりゃあ反発する。当たり前なことだ(言い出せない子もいるが、気持ちとしては一緒だろう)混血であるからグレるわけではなく、混血の人間をそういう風に扱うからグレる、という平野氏の結論はもっともな話だ。
本書は平野氏の回顧録(自伝)として書かれている。平野氏は意識してなかっただろうが、「家なき子」において地の文がレミ(・バルブラン)の回顧型一人称として書かれていることに一致して、なんか良いなあ…なんて思ってしまった。
