猫耳少女は夢をみない。#38

#38     「変わりゆくココロ」

こんな夜中になんだよ?

大知・・・
父さんに話したら、君は正式に俺の用心棒となったよ。
だから、明日から・・・・
ココ(城)が君の家だ!!

それ・・・・マジか・・・・?

ああ!

じゃあ、お前とずっと一緒にいられるんだな・・・
もう・・・
国民の手を借りて伝書鳩を飛ばすこともなくなる・・・
俺は嬉しいよ・・・輝・・・

そうか、俺もうれしいよ・・・・
それでね・・・
君の仲間達についてなんだけど……
明日から訓練所に通わせることになったよ・・・

深沢大知の仲間は処分されず、訓練所で訓練をすることになった。
彼らにリーダーと呼ばれた男・・・深沢大知は詳細を聞いた。

君の仲間は、君に相応しい仲間になりたい・・・
対等になりたいと俺に言ってきた。
具体的にどういうことか細かく聞いたところ、
簡単な話・・・強くなりたいそうだ。
あの事件からもう、数ヶ月が経とうとしている。
その時彼らは、自分たちにチカラがあれば
慕っていた人を失わずにすんだのではないか・・。
もっと、自分達にチカラがあれば・・・
そう強く願ったそうだ。
そして、そこに君が現れた・・。
最初は君に裏切られるんじゃないかって
思ってたらしいけど……
一緒にあの森で過ごしていくようになって
僅かに自分達にチカラをつけてくれた。
それが何より嬉しかった・・・
だから、君も自分のことも守れるように
チカラを身に着けたいんだってさ・・・

詳細を聞かれた青海輝は、
こと細かく彼の仲間が訓練所行きになった理由を説明した。
ゆっくりと説明してくれた輝の言葉に
納得がいった深沢大知は仲間がそんな気持ちを
抱えていたのかと初めて知る。
そして、仲間が自らの意思で輝のところへ行き
訓練所に通いたいと言ったこと・・・。
彼らの意思を尊重してあげたいと思った深沢大知は、
輝に彼らをよろしくと頼んだ。

今の俺は、お前(輝)の用心棒だ。
俺に所用がなければ、外出や視察もお前と一緒だ・・。
これからお前と一緒に
あいつらのところへ行く回数も増えるかもしれないが
俺は今、あいつらが何であそこに行った理由を知った。
できれば、訓練所に行くときは
輝にだけ行ってもらいたい。
俺は、あいつらを見守りたい・・・

もちろんだよ・・・。
訓練所には、彼らに訓練を教えてくれる先生がいる。
俺が最も信頼できる人
だから安心してね・・・

分かった・・。

先生が彼ら全員を強くなったと認めてくれたら、
彼らは訓練所からこっちに移動して
この城の正式な警備員になれる。
俺も何度か見に行ったけど、頑張っていたよ

そうか・・。
それなら、安心だ・・!!

深沢大知は、これまでに見せたことのない笑顔を見せた。
復讐に囚われていた男とは思えないほどの笑顔で
仲間が目標のために頑張っていることを知って、嬉しかったのだ。

その後、深沢大知の一味が前に隠れ蓑として使っていた森は立ち入り禁止となった。
あそこでは殺人事件などは出ていないが熊などが出没するとの情報があったため・・・・・

第1皇子・兄の仕事は、忙しい弟(現:国王)のサポートと
公務や出張が多くなってできなくなった仕事を父親が第1皇子へ回してくる。
兄弟喧嘩をせずに上手く仕事が2人に回って、足りないところは補い
お互い助け合うということができている。
あの日、成が1人の女性に恋をしてから王族は変わっていった・・・。
そのなかでも、成が苦手とする分野の仕事・・・
それは牢獄に閉じ込められている人間への尋問
昔の自分がだらしない皇子だと認識してから、そんな自分が法を破った人間の尋問をしていいのか
そして、時折牢獄の中に入って来る子供。こんな子供が死刑だなんて・・・
と思うとこの仕事が苦手になってしまった。

成・・・大丈夫・・・・?

大丈夫・・・・じゃんよ・・・・

疲れ切った顔・・・してるわよ・・・・?

・・・・・サリウス・・・・

な、なによ・・・?

今日の仕事終わったら、伝えたいことがあるじゃん・・・・

へ、へぇ・・・・・

どんな返事でも俺は受け入れるじゃん・・・・

た、楽しみにしてるわ・・・・

この日の、青海成は一味違った。
ずっと封じ込めていた思いをサリウスに告げようとした…。
そのために嫌な仕事も早く終わらせて一際頑張ったのである。

この書類と囚人への尋問、
それが終わればサリウスへ・・・伝えるんだ。
やっと・・・・やっと・・・・

仕事を終わらせた、青海成は大きな音を立てて自分の部屋で待っているサリウスを確認する
サリウスの姿を見ると真面目な顔で告白をした。
いきなり告白されたサリウスは、涙を流しながらOKと言う
この日は2人の記念すべき日となった。

パタパタッ

伝書鳩が昼に1羽飛んだ。
内容は、国民が輝とルージャのために用意してくれたイベントが整ったとの報告だった。

ルー、今日イベント行ける?

国民が私達のために開催してくれるんでしょ?
当然、行くわ!!

じゃあ、今日行こう!!

ええ!!

昼から始まるイベントに国民から王族を呼ぶことは、これまでになかった。
彼らは国民に愛されていて名指しで呼ばれた。
いままで、国民として参加していたルージャは自分が王族側に入って
新鮮な感じと言い最初から最後まで旦那と手を繋ぎながら
国民に祝福された。

つづく

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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