全員がべちょべちょのご飯と生姜焼きに手をつける。・・・俺の予想とみんなの感想が同じだった。
「うん・・・。我ながら上手くできたと思う!・・・多分。」
「お母さんも・・・まずいご飯を作らずに私たちに作ってくれたのね・・・。」
「やっぱ・・・お袋のご飯がうめえや・・・。」
まあみんながみんな上手いとは限らないけどな。俺もそうだったし。勿体無いから味噌汁は最後に全部平らげる。
みんながピクリとある品で反応が変わった。
「美味い!この味噌汁!!」
「お母さんの味を思い出すわ!」
「どうして味噌汁だけ!?」
まあ俺もその味噌汁は最後に飲んでいるが、まあ昔理想の味噌汁を作るために母さんに習ったけどな。
「これ!あさひ君が作ったでしょ!!」
まあ恥ずかしいが「そうだよ」と頷いた。絶賛だったらしい。
「おめえこんな上手い味噌汁、飲食店に出せんじゃねえ!?」
「もしかしたらクッ○ングパパにもなれるんじゃない!?」
口々から揃えるにはみんな「美味い!!」の一言しかない。まっ美味かったんならよかったよ。
「なんだよそれ!俺にもくれよ!」
「私も!!」
他の班はみんな揃えてこのお代わりの味噌汁に俺のを飲もうとした。
「えー、皆さん!各それぞれ自分たちの班の味噌汁飲んでからそちらの班の味噌汁をお代わりしなさい!!」
先生が持ってるのは味噌汁のお椀だ。
その状態でみんなを怒った。
「・・・先生、そのお椀を持ってる時点で卑怯じゃないですか・・・?」
「まずみんなの味の感想をお互いわかったらあさひさんの味噌汁を飲みなさい!!」
「えー、先生ずるいよー!」
みんながブーイングを先生にぶつけてる。最も当たり前なことを言っている。
「あさひさん、失礼するね。」
まあ味の感想ぐらいか・・・。
結果はどうなんだか・・・。
先生が味噌汁を飲み終えたら提案をくれた。
「・・・あさひさんがこれだけ美味い味噌汁を作れるなら、将来はレストランで働いてみる気はない?」
「・・・どうなんでしょうね。俺は自信はないんですけど。」
「そうねえ・・・他にもあさひさんの美術も良い点を取ってるし、今の時代だったら人気漫画家のアシスタントで調理係、いわば飯スタントというのもあるわ!」
漫画家のアシスタントの中に飯スタント!?俺はオタクと呼ばれるのか!?てかまあ絵は上手く描ける方だと思ってるが。
「でも応募しなきゃいけないんですよね・・・。それに狭き門みたいだし。簡単に進めない方がいいんじゃ・・・。」
「あくまで可能性の話。もしくはスポーツ選手専属のシェフというのもあるわ!あっ、でもそこも確か厳しいんだっけ・・・。」
専属のシェフ。そうか!どれもその手があるのか!!
大体職場実習の話も上手く事が進んだ。専属シェフ。そのシェフは普通は代表料理人という者がなっている。
もしくは飯スタント。
こんなにも意外な可能性があったとは。
でもなあ・・・まだ飯スタントの方が俺にあってる気がする・・・。
そんな中で家に帰ってきた弟が様子を見に来た。どうやらまた走るのを誘ってきたらしい。