第八話 「ヤンキー探偵は永遠に」
窓から見える綺麗な青空、いつも通りの社内、テキパキと仕事をこなす人々、今日も探偵事務所は平和に働いている。現在は何も依頼もなく書類を整理したり、求人募集のチラシを作ったりしていた。
今日は休日のため、翔達も機械と睨めっこしながら仕事をしていた。
「はぁ~・・・。それにしても、何も依頼がなくて暇だな・・・。退屈すぎてだりぃぜ・・・。」と言って翔は退屈そうにしている。

「何言ってるんだ翔。依頼がないってことは事件もないってことだし平和でいいじゃん。事件がなくたって、山ほど仕事があるんだから。」
「そうだよ翔君!平和なことはいいことだよ!事件が多いよりましだよ!」
「でも、意外とどこかで事件とかあったりして!」4人は語り合いながら作業を進めている。浩一も佐百合も忙しそうに電話に応対したり、書類をまとめていたりと大変そうだ。
「それにしても、元はヤンキーだった俺がこうやって探偵をやれているのも不思議だよな・・・・。」と翔は家族写真を眺めながら思い出す。
「翔?何してんの?ボーっとしてるけど?」綾子はぼんやりとしている翔に声をかけた。
「あぁ、すまない姉貴。ヤンキーに探偵って珍しいなって思ってさ。元からといえば父さんから始まった探偵事務所だし、母さんもかつては元マフィアの一族だったから不思議だなって感じがして・・・。」
「ふふっ。確かにな・・・・。まさかね、私も探偵になれるとは思わなかったし・・・・。それもこれも父さんが立ち上げてくれたお陰だな。」
「だから、今の私達もいるんですね!ねっ、斗真!!」
「うん!翔が探偵でいてくれたから僕も探偵になって支えることが出来るしね!」翔が語った後、綾子らも続けて探偵になれたことを語った。それを見ている浩一や佐百合も微笑みながら見ていた。
「古畑菜刑事の言葉が無かったら、今頃俺らは地獄だったかもしれないな・・・・。」
「そうね。本当に古畑菜刑事には感謝ね。もちろん、貴方にもね。」
「佐百合・・・・。さ、午後の古畑菜の誕生日パーティーのためにもきちんと仕事をするか!」そう。今日は古畑菜刑事の誕生日の日だった。なので、午後にこの探偵事務所に来ることになっているのだ。そのためにも翔達は仕事しながらも飾りつけの準備をしていた。
「この輪飾りはここか?」
「違う。ここの位置に飾ってくれ。」
「斗真君、このポンポンの飾り、もうちょっと丸くした方がいいかな?」
「うん。この端っこのあたりとか丸くしたら可愛いと思うよ!ま、翔にデレている奈々ちゃんも可愛いけどねっ☆」
「も、もうっ!私はデレてないっ!!何を言っているの⁉そう言う斗真君も彼女の綾子さんにデレデレな癖にぃ~っwww」
「そ、それはっ・・・・!」と4人ははしゃぎながらも着々と準備を進めていた。その間に他の社員は食料を準備したり、浩一が徹夜して作ったケーキを用意したりしていた。

「よし・・・・・。コイツを準備して完了だな。」と浩一がテーブルの真ん中にお手製のケーキを置いた。中心にはチョコペンで古畑菜刑事へのお礼が書いてある。まるでパティシエ並みにクオリティが高いケーキなので、翔ら含めて社員全員驚いていた。
「うぉっ⁉親父、何だそのプロの人が作ったような美味そうなケーキは!」
「凄いクオリティでびっくりです・・・・!」
「まさか父さんにスイーツづくりの趣味があるなんて・・・・。」
「めっちゃ写真映えしそうな見た目・・・・・。」皆不思議そうに浩一特製のケーキを間近で見ている。浩一は少し照れくさそうにしていた。
「今時は男だってスイーツ作りするんだぞ。びっくりだろ?」とピースしながら答える。
「貴方の見た目からその特技は意外ね。でも、それも含めて浩一らしいわ。」佐百合もクスっと笑いながら浩一を見た。
「ま、まぁな・・・・・。スイーツ作りはお頭に教えてもらったからな・・・・・。」そして時間は午後になり、古畑菜刑事が探偵事務所に来る時間になった。古畑菜刑事は急いで走りながら向かっている。
「はぁっ・・・・、はぁっ・・・・、探偵事務所までのバスはどこだったっけ?・・・って、もうこの時間帯がないじゃん!ようし、こうなったらタクシーを呼ぶしかないね。」焦りながらも約束時間に着くためにタクシーで向かった。そして20分後、探偵事務所に着いた古畑菜刑事はタクシーから降りた。すると、そこには浩一や翔らなどが入り口前で歓迎していた。
「よう、古畑菜。久々だな。」
「ようこそ!奇薔薇探偵事務所へ!!」
「古畑菜刑事、お久しぶりです!」
「おお、みんな久しぶりだね。特に翔君、また身長が伸びたんじゃないか?浩一君と同じくらいにみえるくらい。」
「え、そうですか?身長を大きくさせるようなことはしてないんだけどな・・・・・。」
「そうね。最近、翔ってば奈々の事を気にしながらいーっぱい筋トレしているんだよね。「奈々に相応しい男にならなきゃ。」って。ね、翔?」と綾子は古畑菜刑事と翔の雑談に混ざりながら翔の身長伸ばし事情をニヤニヤと少し悪い顔をしながら語った。翔は顔を真っ赤にしながら慌てている。
「バ、バカ!!何言っているんだよ!!姉貴!!俺は別に奈々のために筋トレしているわけじゃ・・・・・っ!」

「翔君そうだったの⁉」
「お、ここにもカップル誕生か⁉いいねぇ~。青春だねぇ~!」斗真や奈々もにんやりとした顔をしていた。古畑菜刑事や浩一、佐百合は翔の肩に手を置いてニコニコしている。
「そうか・・・・、翔ももう彼女ができる年なんだな・・・・。」
「おめでとう。翔。お母さんもお父さんも嬉しいわ。」その言葉に翔はまたまた顔が赤くなり、怒った。
「親父も母ちゃんも何、顔二やついてんだよ!!まだ奈々に告白もしてねぇし、やめろよ!!」周りはクスクスと笑って、盛り上がった。そして探偵事務所の中に入り、翔と奈々は古畑菜刑事をケーキのあるテーブルの前に案内した。古畑菜刑事は色んな豪華なご馳走に目を輝かせながら驚いていた。
「おぉっ・・・・。凄く豪華だね。目の前にあるケーキって、もしかして・・・・・。」
「そうだ。俺が作ったんだ。感謝の気持ちを込めてな。」浩一は古畑菜刑事にはにかんだ笑顔で話した。
「このケーキを浩一君が・・・・⁉僕のために・・・。」古畑菜刑事の瞳は少しウルッとしている。すると綾子がカメラを持って声を掛けた。
「はーい!みんな!ケーキをメインにして記念撮影するよ!」翔らや社員達は綾子の指示でケーキの前に集まった。「獲るよ!3、2,1・・・・・」
カシャッー!(カメラの音)
「よし、これでOKかな。」記念撮影が終わりわちゃわちゃしていると出張から帰ってきたばかりの社員が慌てた様子でドアを開ける。
「社長!皆さん!大変です!!一番町近くで事件が!!!」どうやら、探偵事務所近くで事件が起きたようだ。外は騒がしく、パトカーや救急車などがサイレンを鳴らして沢山来ていた。
「はぁっ・・・・、パーティーの前に事件解決か・・・・。」
「これは終わるまでお預けになりそうね・・・・。」
「早速僕らの出番だねっ!!」
「こうなったらやるしかないねっ・・・・。」
「仕方ねぇ、推理でこの事件を解決してやるぜっ!!」
「私も手伝うよ!!翔君!」打ち上げパーティーが夜にお預けになるせいでため息をつきながらも事件の解決に向かう翔達であった。ヤンキー探偵は今日も事件解決のために今日も行く。それが奇薔薇探偵事務所だ。

ー終わりー
