ファンタジーランドに帰ったユエは、泣いてふさぎ込んでしまいました。周りの月の妖精の家族たちも、他の種族たちも、彼女を心配してお見舞いにきました。
そして、ファンタジーランドのお医者さまがユエが帰ってきてから3日目に、彼女の体調を見ると、彼女の体の中に新しい命が宿っていることがわかりました。
実のところ、ファンタジーランドの妖精族は、口と口でキスをすると子どもができるのです。ユエはそのことを承知でハッピーにキスをしたのでした。ちなみに、見た目は幼くてもユエは500歳を越えていました。
人間との子どもということで、ファンタジーランドの住人たちは戸惑いました。しかし、ユエがどんなに人間のハッピーのことを愛しているのかよく知れ渡ってもいたため、「みんなでユエと子どもを支えよう」ということになりました。
ハッピーが毎年夏休みになるのをそわそわと待って、ユエは人間界に通っていましたからね。その姿はファンタジーランドの語り草でした。
そして、ユエがファンタジーランドに帰ってきてから9日目の朝にお腹から光の玉が飛び出しました。光の玉は徐々に光の強さが弱まっていき、最後には赤ん坊が現れました。
ユエはその赤ん坊を抱きしめて、久しぶりに笑いました。
そして、その子をハッピーにちなんでモッピーと名付けることにしたのでした。
一方その頃、月の妖精の一族が暮らすお屋敷の隣にある教会に、たくさんの天使たちが集まっていました。その中央部に、長老の天使が困り顔で赤ん坊を抱いていました。
「人間界でたくされたのだ…この子の家族はもういなくてのう…」
長老の天使はそう言って、腕の中の赤ちゃんの顔を覗き込みました。
赤ちゃんは無邪気に笑っています。
その笑顔を見た他の天使たちは口々に微笑みました。
「なんてかわいい子なんでしょう。大丈夫よ、あなたは私たちが大事に育てるからね」
「その子の名前はマリアにしましょう。神さまに愛された名前ですよ」
長老の天使は、他の天使たちの様子を嬉しそうに見つめ、うなづきました。
「うむ、マリアか。良い名前じゃ」
こうして、モッピーとマリア、二人はいずれ出会い、親しい友人になるのです。
二人の話は、また今度お話ししましょう。
終わり
