＃7「ボイコット」
その息子さんに会いたいんだけど……
いいわよ♡まだ会議中だと思うけど
終わるまで仮眠室で待っててね！
連れていかれたのは“仮眠室”会議中の息子を待っている間……
今日の出来事を振り返って眠ってしまう幹汰。
疲れたな……少し、寝よう……
安全確保ができ安心感があって深い眠りについた幹汰。
夢の中で見ていた世界は未梨愛がまだ幼かった時の記憶……
“そうだ俺が知っている未梨愛は優しい未梨愛…………
あとで謝らないとなぁ…………未梨愛に…………”
カンちゃん…………
床に体育座りをしながら俯く未梨愛のもとに荒生璃子が現れ
幹汰にも受け渡ったブレスレットを未梨愛に渡す。
なによ…………こんなもの、いらないわ
そう？“コレ”があれば幹汰の居場所がすぐわかるわよ？
それでもあなたは同じことが言えるかしら…………
…………
その言葉を聞き耳を傾けて無言で受け取る未梨愛。
それでこそアナタよ……
荒生はｸｽｯと微笑み“青春っていいわねぇ♡”とニヤけた。
仮眠室でグッスリ眠っていた幹汰を三加和が静かに起こしTVを見せる………。
ゆっくり静かに起き上がり、目を擦りながら見せられたTVに目を通す幹汰。
なにー…………
あと10分くらいで息子の会議が終わるから、
それまで“コレ“を見てほしくてね……
…………！！！！！！
見せられたものは、幹汰がギャラリーの目の前から消えたことによる騒動が行われていた。
ネットでも騒がられていたが……街行く人の変り身が激しかった…………
はぁ？ふざけんなよ……ターゲットいねぇのかよ……つまんねー
金目当ての俺らオワタｗｗｗｗ
つーかぁ、
ターゲットいないのに盛り上がるわけないじゃん？
マジでぇ…………イミないんですけどー
幹汰を追って撮影をしていたカメラマンはカメラをわざと落として踏み潰す
懸賞金目当てで近づいてくるチャレンジャーもやる気が失せ
ターゲットの“姫路幹汰”がいなければ、このゲームは成り立たない…………
ということを改めて実感した主人公たちであった。
なにこれ…………
見ての通りよ？
このゲームは、あなたがいなければ成り立たない…
それでも諦めずに、
あなたを探しているチャレンジャーはいるようだけど…
…いまの青い髪の子………どこかで見たことある…
生中継だから、一時停止ができないのよぉ…
その内また放送するとは思うけど
でも、これで分かった………
この施設にいれば安全だということが
俺たちからは、ギャラリー達の動きが見えるけど
向こうからはこっちの姿が見えていないというのは本当のようだ……
っち……どこに行きやがった……幹汰……
舌打ちをするライザックは、ここである提案をギャラリーに出した……
それはなんと……またしても金額の上限解放。
諸君……ターゲットの姫路幹汰が行方不明になって、
やる気を失っているようだが……
ここで、私から提案を出そうと思う……。
行方不明になっているターゲットをいま、
私のもとへ連れて来られたものには特例として
５００万をプレゼントしよう！！
無傷で連れて来られた場合だがね？
やる気を失っていたギャラリーやカメラマンたちが、
すぐさま立ってターゲットが行方不明になる前の風向きに戻った。
５００万？！まじ？
５００万あったら、借金返済できるぜ！！！
ホストに貢いだお金の半分が返済できるわ……
その生中継を見ていた幹汰は瞳を大きく見開いた……
ここにいれば安全だから、
ほとぼりがさめるまでここにいればいいわ……
そう、させてもらいます……
“はぁ……“と大きなため息をつく幹汰の肩を支える三加和。
三加和は息子の部屋を無表情で見つめ、“まだか“と言わんばかりに視線を送る。
そろそろ来るわ…
三加和は、幹汰を椅子に座らせたあと部屋の前に立った…
では、そういうことで
全く、君にはいつも驚かされるよ！
この頭脳で中学生とは!!きっと親の教育がいいんだろうな!!
次の会議も期待しているよ！
ピッ
会議が終了し、デスクの上で両腕を突き一段落したあと……
自分の部屋の前に父親の気配を感じ取った。
やっとご対面だな……我らの姫君…
そっと、座席を立ち部屋から出た…
第8話へつづく
