そうだ、三加和さん…インカムに反応しているのが俺だけなら、個人通話に切り替えてくれませんか?
ええ、いいわよ…
俺とショウって小さい頃…会ったことありますよね??
あるわ…そして、その時ワタシもいたもの……
やっぱり…!!
思い出したのね…発作は大丈夫?
無理に思い出そうとしなければ俺の持病は大丈夫なんです…
よかったわ…思い出してくれて
やっぱり、俺の記憶は正しかったんだ。
ショウが、なぜこのことを俺に伝えなかったのは予想がつく…
誰よりも俺のことを知っていて、考えてくれているからこそわかる。
持病の発作を起こさないため。そう、俺とショウが初めて出会ったのは丁度いまのような季節。これから、夏になる手前の終わりの春だった。
幼かった俺は、家族旅行でアメリカに行った。父親と2人の旅行だったけれど
忙しくなかなか休みもとれなかった父との旅行を俺はとことん楽しむことにした。英語というものを初めて知って、知らない言葉…テレビで見るような外国人、最初は怖かった…あの子に会うまでは…………。
父さん、観光地の場所を聞いてくるからそこにいなさいね?
はーい…
それは、父がキレイなおねぇさんに観光地を英語で聞いていたときのこと。
俺は特になにもすることがなく、周囲を見渡していた。辺りは公園で、子連れの親子や恋人や散歩中の子供がいっぱいだった。話しかけられても、幼かった俺は英語が話せない。だから、大きな空いているベンチに腰をかけようとした。
…あ…
ふとした瞬間、俺は声を発していた。
俺が腰をかけようとしたベンチには先客がいて、同じ年くらいの子供が真剣に一冊の絵本を読み進めていた……あまりにも集中していて絵本を読んでるから、俺は聞いてみたくなった。その、絵本の内容について…………
それ、面白い?
話しかけてから思った、ココは日本じゃなかった!!
日本語なんて通じないのに………話しかけたら、彼は大きく目を見開いて本のしおりを挟んでこちらを見る。
ご、ごめんね?英語…えっと、so……rry?
…日本語でいいよ……
えっあ……Im……sorry……!!って、え!日本語?!
だから、さっきからそう言ってるんだけどな……
日本人?
アメリカと日本のハーフなんだ。母が、アメリカ人だけど育ちは日本で父が日本人
ハーフって初めて見た!!キレイな顔立ちだね!!
褒めても何もでないよ……
あ、そういえば名前まだ言ってなかったね?僕は、幹汰……姫路幹汰
幹汰か、よろしく。僕は、三加和翔貴……
みんな、ショウって呼ぶから“ショウ“でいいよ
よろしくね、ショウ……
握手を交わしたあと、俺たちは友達になって交流を深めていった。
旅行でアメリカにいる間は…ショウと公園で待ち合わせして話をしたり、絵本を読んだりした。
こっちにはどのくらいいるの?
1週間だよ!!あと3日で日本に帰るかな…
こっちには何をしに?
パパと家族旅行だよ!!うちには、ママが居ないからね…
普段一緒にいる時間が少ないからって長いお休みを取ってくれたんだ……
いいパパだね……
でしょ!!
幹汰と一緒に居られるのもあと3日か…寂しくなるなぁ……
あと3日も一緒に居られるんだから、楽しい思い出いっぱいつくろう!!
そうだな……
ショウが持っていた絵本は、いつも読んでいる絵本とは異なる本を持っていた。俺はそれに気づいて、ショウが持っている絵本を指差して話題を作った。
それ、いつもと違う絵本だね?なんてタイトル?
これはね、最近誕生日祝いに父からもらった特別な絵本なんだ。だから、幹汰と一緒に読みたくてまだ1ページも開いてないんだ。タイトルは、『ライアンと魔法』。
さあ、一緒に読もう♬
うん!!
そんな楽しい日々は、少しずつ終わりを告げていって……2日前にはショウの家にお泊りすることになった。
あらぁ~あなたがカンくん?初めまして!!
うちのショウちゃんがお世話になってまぁ~す!
初めまして!!ショウくんのママですか・・・?
いいぇ、ワタシ……ショウちゃんのパパなのよぉー
パパさんなんだ?女の人かと思った!!
僕も初めは驚いたよ……慣れるとそうでもないけどね……
パパ、ショウのパパさんと友達なの?
ああ、最近ね。
この日、俺の父さんはショウの父親と顔見知りなのを初めて知った。
その夜…ショウと他愛のない話をして同じ布団に入って夜が明けた…
翌日_____________
明日、ここを発つんだね…
うん…僕にとってこの1週間は宝物だよ
僕もさ……
思えば、いつも僕らはここの公園で待ち合わせしてたね……。折角だから、この場所に名前をつけない?
2人だけが知っている内緒の合言葉…
それはいいね……なんてつけようか・・・・??
『折角だから、すぐ思い出せるような……素敵な名前にしたいね……』
同時に2人で同じ言葉を放った。いつものベンチ、いつもの二人……
そのとき、空に七色の虹が飛び交った……それを見たショウは…ある名前をつける。
虹と、幹汰という光に出会えたから……ココを“光射す場所”と名付けよう。
それからずっと、この合言葉は変わらず待ち合わせをするときに使われた。
楽しかったよ……ショウ……素敵な1週間をありがとう!
こちらこそ……幹汰に渡したいものがあるんだ。
ラッピングされた袋に入っていたのは、2人で読んだ“あの本”だった!
え、なんで?これは、ショウがパパさんにもらった誕生日プレゼント……
そうだけど絵本はまた買えば手に入る……でも、友達は唯一無二の存在だから……この絵本は、僕の初めてできた友達に
プレゼントしたいんだ……
ショウ……ありがとう……
Kanta……
Even if we can not meet each other,
we will always befrends while we keep thinking each other.
英語の発音が良いのは分かったけれど、あの絵本に書いてあった言葉と同じだったのを覚えていた俺は、こう言い返した。
See you show……!!
またいつか、また……会おうね…………
ショウは知らないだろうけど、俺の初めてできた友達でもあったんだ。
日本で、ショウと再会したとき…………初めて会った気はしなかった…………。
この記憶があったからか…
あの時絵本をくれた少年は君だったんだね…
“反応のイロは、私を作ったマスター…金剛雨翔貴さまです”
ショウ……