Fakeコラボが決まり、早くもどんなシナリオになるのか、新規サーヴァントは誰が実装されるのか楽しみのかぎしっぽです。
あと、早くFate/strange Fakeの第2クールが来ないかと待ちきれない今日この頃です。
今回は、パーンダヴァ五兄弟の長男である『ユディシュティラ』が活躍する為、彼の事も交えて解説していきたいと思います。
ユディシュティラについて
今回ユディシュティラが活躍しますが、数多くあるFateシリーズ内でもまだ登場してなく、FGOのストーリー内でも彼の事はあまり言及されていません。
なので、今回は原典である「マハーバーラタ」内での彼について説明します。
ユディシュティラは法の神・ダルマ神1を父に持つだけに、ダルマラージャ(ダルマすなわち正しき法の王)、ダルマプトラ(ダルマの息子)、アジャータシャトル(彼を憎む敵がいない者)と呼ばれる程、公正明大な人物で徳性が高く、多くの人達から信頼され、重要人物から王位継承者として推されるほど人望が厚いです。
それと同時に非常に賢く、その思慮深さから兄弟たちの窮地を何度も救っています。
「マハーバーラタ」内でも、争いごとを嫌う振る舞いが多く見られます。
その反面、法を司る父神の息子ながらユディシュティラはギャンブルに目がないという欠点があり、後々このギャンブル好きという面が自身と自分の家族の首を絞める出来事に繋がります。
(この出来事がキッカケなのかFGOのビーマのプロフィールに嫌いなものが「賭け事」となっています)
ただ、この出来事があったのにも関わらず懲りていないのか、三回目の放浪の旅でとある事情で変装をする事になった際に「骰子賭博に長けたバラモン」に扮しています。
武術では槍と戦車の扱いにおいて右に出る者がいないと言われており、金や宝石が彩られた槍を使って戦ったとされています。
ただ、クル・クシェートラの戦いではパーンダヴァ陣営の君主として立っている為、あまり活躍をする事がありませんでした。
前回、息子の甘言とカニカの助言によりドゥリーヨダナの陰謀にのる事になったドリタラーシュトラですが、一体何が起こるのか。
そして、この陰謀に対してパーンダヴァはどう乗り越えていくのか・・・。
(今回もかぎしっぽなりの解釈が入っていますので、もし間違っていたらごめんなさい💦)
・パーンダヴァ兄弟、ヴァーラナーヴァタへ
「1年間だけヴァーラナーヴァタで過ごさないか?」
ドリタラーシュトラに呼び出されたユディシュティラは、ヴァーラナーヴァタへと誘われます。
「その町は大変美しく、暫く喧騒を忘れて家族と一緒にゆっくり過ごすのも悪くないのではないか?」
「それにその地ではシヴァ神のための大祭があり、その町の人々も貴方達が来る事を願っている」と提案します。
ユディシュティラは、この提案は王自らのものではなく、背後に何かよからぬ企みが隠されているのではないか?と感じていました。しかし彼は「はい、王命とあらばそのようにしましょう」と、この誘いに乗ります。
ドリタラーシュトラは聡明なユディシュティラの事なので、この提案にのってくれるかどうか内心ヒヤヒヤしていましたが無事に誘いに乗ってくれた為、ホッと胸をなでおろします。
ユディシュティラは王室を退出した後、ビーシュマ、ドローナ、ヴィドゥラの元へ行き、一年程ヴァーラナーヴァタで過ごす事を伝えます。
ですが、3人ともドリタラーシュトラの提案に「何でそんな急に?」と不思議そうにします。
「今でもここでゆっくり過ごす事ができるんじゃないか?」とビーシュマは疑問を問います。
ですがユディシュティラは、「私は年長者の言う事は従うようにしているのです。それに、亡くなった父の代わりに育ててくれたドリタラーシュトラ王が、私達の為を思って提案してくれた事です。彼が言うのですから何も心配することはありません」
「そして貴方方も、私達にとって父親も同然の方達です。なのでどうか、私達に祝福と向こうの地でも無事で暮らせるよう祈って下さい」と行く事をやめようとしませんでした。
そこまで決心がついているのであればこれ以上止める理由は無い、とビーシュマとドローナは納得し、ユディシュティラの門出を応援します。
ですが2人とは対照的に、ヴィドゥラはドリタラーシュトラの意図に途轍もない陰謀が企てられている事に勘づきます。
一方、「パーンダヴァ達がハスティナープラを出て、ヴァーラナーヴァタへ行く」という噂は瞬く間に国中に広まり、国民の声の多くは不安と悲しみの声を占めました。そして、悲しみに暮れるハスティナープラの市民たちとは裏腹に「パーンダヴァ五兄弟がこの町にやってくる!」と大喜びのヴァーラナーヴァタの人々は急いでお迎えの準備に取り掛かっていました。
自分の思い通りに行ったのに、パーンダヴァ五兄弟がいなくなる事で沈む町を見て腹立たしく感じるドゥリーヨダナでしたが、何にせよ父が自分の提案に同意した事で彼らを王宮から追い出す事に成功しました。
早速ドゥリーヨダナはシャクニと共に練りに練った陰謀の仕上げに取り掛かり始めます。
ドゥリーヨダナは自身の仲間である大臣のプローチャナを呼び出し、人気がない事を確認してから彼に命じます。
「今すぐにヴァーラナーヴァタへ向い、パーンダヴァ達が住む宮殿を建ててこい。王子たちが住むに相応しい高価な装飾を使った素晴らしい建物をな」
「だが、その宮殿には樹脂やワックスのような非常に燃えやすい素材を使って作るんだ。そして幾つかの部屋に油やギーの入った壺を置き、さらに建物の素材が怪しまれないよう、香を焚いてバレないようにするんだ」
「ドリタラーシュトラ王がパーンダヴァの為に建てたものだと伝えれば、あの人を疑わないお人好しなアイツ等の事だ。何の疑いもなくその宮殿に住むはずだ」
「ここからが重要な事だ。お前はパーンダヴァに取り入って信頼を得るんだ。アイツ等が完全にお前の事を信用したと確信した時に、寝静まった隙をついて事故に見せかけて火を放ちパーンダヴァを焼き殺すんだ!」
ドゥリーヨダナに重要な役割を背負ったプローチャナは直ぐ様ハスティナープラを出立し、ヴァーラナーヴァタへ向かいました。
そして宮殿の建設を開始し、一見すればドゥリーヨダナの恐ろしい陰謀が企てられたとは思えない程、極めて精工な宮殿が作られたのです。
そして、パーンダヴァ五兄弟が母を連れてヴァーラナーヴァタへ出立する時が来ました。
王宮の前では盛大にお別れのパレードが行われ、ハスティナープラの町中の市民が彼らの周りに集まり、目に涙を浮かべて彼らとの別れを惜しんでいました。
中には「ドリタラーシュトラの悪い陰謀があるに違いないから行かない方がいい!」とまで言う市民が出る程でした。
ですが、そんな市民にもユディシュティラは宥め、彼らに別れの言葉を残していきました。
「年長者の頼みを断らないのが私のルールなんです、それがどんな事であっても」
「それに、ドリタラーシュトラ王は私達にとって父親同然の方なのです。そんな人の頼みを断るなんて出来ません。なので、どうか我々を祝福し、新たな地へ見送って下さい」
町中の人々に別れの言葉を告げて殆どの市民が引き返した頃、まだパーンドゥ一行と同行していたヴィドゥラはユディシュティラに、ミエッチャ・バーシャという少数人にしか解らない方言を使って彼に忠告します。
「ユディシュティラ、貴方はとても賢い人だ。そんな賢い貴方だからこそ、その知恵をもって家族を危険から守らなければいけません」
「何も危険というのは、剣や弓のように致命傷を送る武器だけとは限りません」
「ねずみはとてもか弱い生物ですが、森を焼き尽くす大火事や過酷な冬の期間を自ら穴を掘って自分の身を守ります。賢い者というのは、そうやって自らの危険を守る技術を持つ者の事を言うのです」
「どんな方法でも良いのです、武器よりも恐ろしい手段に対してねずみの様に身を守れる手段を見つけなさい」
「その方法さえ見つければ後は沢山の星が貴方に道を示し、いつでも感覚を敏感にしておけば、誰も貴方を傷つけることはできないでしょう」
ユディシュティラにそう言葉を残し、最後にヴィドゥラもパーンドゥ一行に別れの言葉を告げて宮殿へ帰っていきました。
ユディシュティラはヴィドゥラのこの言葉を深く心に刻み込みました。
そして、わざわざ小数人にしか分からない方言を使ってまで忠告したという事は、恐らくヴァーラナーヴァタでこれから恐ろしい「何か」が起こるというヴィドゥラのメッセージであるのだと理解し、母親にも伝えます。
ここでパーンドゥ一行はカウラヴァ側の企みに気づきますが、表面上は気づかない振りをして数日間に及ぶヴァーラナーヴァタへ向かう旅に向かうのでした。
・ヴァーラナーヴァタに着いたパーンドゥ一行
王宮で盛大に行われたお別れのパレードを終えて、母・クンティーを連れて旅立って数日後、ヴァーラナーヴァタへ到着したパーンドゥ一行は町の人々に大きな喜びの歓声と熱意をもって歓迎されました。
街へ着いて数日経ったある日、とある人物がパーンダヴァ達の元へやってきました。
プローチャナと名乗ったその男は、大変謙虚に敬意を表し「ドリタラーシュトラ王が貴方達がもっと快適に過ごせるようにと建てた宮殿へ案内したい」と言い、プローチャナは一行を連れてその宮殿へ案内しました。
もちろん、ドゥリーヨダナがパーンダヴァを貶めるために作られた、あの裏工作いっぱいの宮殿にへです。
プローチャナに案内された『シヴァ』と呼ばれる宮殿は、建物の周りにぐるりと堀が囲まれており、敵に侵入されない為の防犯措置だと説明されますが、それは屋敷が燃えた際にパーンダヴァ達が外へ逃げれないようにする為の周到に用意されたものでした。
そして宮殿はパーンダヴァ達が気に入るように設計されている為、ドゥリーヨダナの思惑通りにその立派な宮殿を気にいったパーンドゥ一行はドリタラーシュトラからの好意という事もあって、この宮殿に移り住む事をプローチャナに伝えます。
荷解きを終えて寛ごうとするパーンドゥ一行でしたが、ユディシュティラは着いた宮殿を訝しく思い、ビーマを連れて宮殿内を探索する事にしました。
「ビーマ、気づいたか?この宮殿、豪華な装飾で上手く隠されているが、よく見ると柱はまるで紙のようなもので作られている」
「柱だけじゃない、床や壁もそうだ。この建物全体が全て燃えやすい素材で作られている」
「それに、香の匂いで誤魔化されているが・・・まるで油のような奇妙な臭いが漂っているんだ」
ユディシュティラに言われて確認すると、確かに兄の言った様に、よく観察すると宮殿全体が燃えやすい素材で出来ている事が見て取れ、宮殿内が微かにギーの臭いで包まれている事が分かります。
「何より、プローチャナは防犯の為と言っていたあの堀・・・まるで私達を逃がさない様にするための『檻』にしか見えないんだ」
ここまで言われると、他人を疑うのが苦手なビーマも流石に疑念を持たざるを得ません。
ならば何故、ドリタラーシュトラは我々を此処に住まわすのか?
ここで、ヴァーラナーヴァタへ旅立つ前にヴィドゥラが言っていた言葉を思い出します。
剣や弓よりも恐ろしいモノに対して守るための手段を持つ事、そしていつでも感覚を鋭く持てと言っていた事を。
「燃えやすい素材で出来た宮殿」「宮殿を包囲するよう囲まれた堀」「『シヴァ』と名付けられた宮殿」
この3つのキーワードから、ユディシュティラのもつ疑念はある確信へと変わります。
カウラヴァは我々一家をここで宮殿ごと焼き殺そうと画策しており、恐らく宮殿を案内したプローチャナもカウラヴァ側の仲間であると突き止めます。
この事に気づいたユディシュティラはビーマに共有すると、ビーマは早急にこの宮殿から脱出するように進言します。
「兄さん、直ぐにここから脱出しよう!あの堀が私達を逃がさない為の『檻』というなら此処にいては危険だ!」
「今すぐ城に戻ってアイツ等を問い詰めよう!何があっても私とアルジュナならアイツ等になんて負けないさ」
ですが、ビーマの進言に首を横に振ります。
「ビーマ、冷静になるんだ。いいかい?今ここで王宮に戻ったとしても私達を殺そうとしている証拠がない。その事を言及してもシラを切るに決まっているさ」
「それに、その事を指摘してカウラヴァを刺激しようものならあのドゥリーヨダナの事だ。戦争にだってなりかねない」
「お前たちの強さは疑っていない。けど、もし戦争となれば味方がいない私達には、彼らと戦うにはあまりにも分が悪すぎる」
ならば、どうすればいいのか。ユディシュティラは考えます。
自分が言った通り証拠がない今、王宮に戻っても生半可な主張ではきっとカウラヴァは何だかんだと言い逃れ、自分達の主張は一蹴されるのは目に見えています。
そこで、ユディシュティラはある策を思いつきます。
その策は一つ間違えれば自分達は最悪死んでしまう危険な策ですが、成功すればカウラヴァの権威を落とすことができ、パーンダヴァに味方をする者が現れるかもしれません。
ですが、その策を講じればきっと私達が亡くなったとなれば悲しむ人々がいるのも事実で、ユディシュティラはそれだけが気がかりでした。
熟考した末、覚悟を決めたユディシュティラは敢えて待つことを選んだのです。
「私達はヴァーラナーヴァタに来てから数日しか経っていない。今日にでも火事を起こそうものなら、その疑いの目はカウラヴァが殺したのだと誰の目を見ても明らかだ」
「計画を起こすまでに時間があるのなら、ヴィドゥラ叔父さんの言葉に従って、私達は何も知らない振りをしながら過ごすんだ。その裏で脱出する手立てを企てていこう」
「そして、私達が火事で死んだと思わせて、時が来たら彼らの前に現わすんだ。彼らが束の間の平和を過ごしていた所に死んだと思っていた私達が現れたとなれば、油断していた彼らはきっと私達に対して企てた陰謀を吐き出すに違いない」
「そこでみんなの前で王とその息子たちを糾弾し、私達の味方を増やすんだ」
ユディシュティラのあまりにも賢明で先を見据えた作戦にビーマは感心し、「自分に出来る事があるなら何でも言ってくれ」と兄の作戦に賛同します。
この作戦は残りの兄弟と母にもすぐに共有され、この陰謀まみれの宮殿『シヴァ』から脱出する為の策を打ち始めたのです。
早速作戦を練ろうとしたその矢先、彼らの前にとある男性がユディシュティラ達の元へ訪れました。
「ヴィドゥラ様から命じられここに来た鉱夫でございます」
その男は見覚えがなく一度警戒し、以前ヴィドゥラが使用していたミエッチャ・バーシャを使って、信用できる人物かどうか注意深く反応を見ました。
すると、その男は見事に同じ方言を使い「ヴィドゥラ様からこの陰謀の事を聞き、脱出の為にこの宮殿とガンジス河の河岸まで繋げるよう頼まれ、トンネルを掘りに来たのです」と、プローチャナに聞こえないように伝えます。
ユディシュティラはこの事を聞いて喜び、彼を宮殿へ招き入れ、早速作業に取り組んでもらおうとします。
しかし、作業はそう簡単なものではありませんでした。宮殿内ではプローチャナが世話人と言いながら、実際には逃げ出さないよう常に兄弟達から離れず監視していた為、彼に気づかれずに作業に取り掛かるのは容易ではありません。
そこで兄弟達はプローチャナを誘き寄せる為に、昼間はなるべく外で過ごし、森に出掛けて狩りを楽しむ振りをして、誘き出している間に裏で作業を進めてもらう事にしました。
そして、これにはもう一つ目的があり、昼間出かける事によって脱出する時に土地勘を養っておく為だったのです。
こうして、パーンダヴァは表面上疑っていない振りをしながら、1年にも及ぶプローチャナとの鼬ごっこの日々を送るのでした。
・宮殿からの脱出
パーンドゥ一行がヴァーラナーヴァタに来てから1年が経ちました。
全員の力を合わせて監視の目を欺きながら作ったトンネルがとうとう完成したのです。そのトンネルはバレないように宮殿側の入口にとても小さく作られ、入口の上に高価な敷物を載せる事で一目では分からないように工夫が施されました。
それと同時期に、彼らから信頼を得たと確信したプローチャナは機が熟したと考え、ドゥリーヨダナから命じられた殺害計画の準備を始める事にしたのです。
ですが、密かにプローチャナを監視していた鉱夫がその現場を捉えた事により、この事は直ぐにユディシュティラ達の元へ伝えられます。
「決行するのは月明りがほとんど無くなる晦の夜に実行されるとのことです」
どうか気を付けてと言い残し、鉱夫は去っていきました。
トンネルが完成し、何時でも脱出する準備が整った今。ユディシュティラは遂にこの時がやってきたのだと悟り、パーンドゥ達もこの宮殿から脱出する事に決めたのです。
その翌日、クンティーは腕によりをかけて豪華な料理と祝宴の用意しました。
クンティーはとあるニシャーダ2の女性に目をつけていました。
その女性には自分と同じく5人の息子がおり、クンティーはいつも彼女に対して愛想よく振る舞い、友達のように接していた為、「今夜、召使いの人と大きな宴をやるので息子達も呼んでその宴に来ないか」と誘い、彼女は息子たちを連れてその宴に参加しました。
宴にはプローチャナも一緒になって参加し、沢山のお酒と豪華な食事に宴は大賑わい。お腹もいっぱいになり、お酒も回ってすっかり酔っぱらったその家族とプローチャナは宮殿で気持ち良く眠ってしまいました。
それを見たユディシュティラは兄弟達に合図を送り、静かに素早く行動を開始します。
アルジュナと双子は母親を連れてトンネルの中に入って避難し、ビーマは松明を手に取り宮殿内に火をつけ回ります。宮殿内に置いてある油やギーが入っている壺の場所、そしてプローチャナが泥酔している場所は全て把握していました。
宮殿はたちまちに燃え上がり始め、ビーマは急いでトンネルへと向かいます。
トンネルの前で待っていたユディシュティラは、ビーマが無事に戻ってきた事を確認すると2人は急いでトンネルの中に入ります。トンネルの発見が遅れるように崩れてきた瓦礫がその入口から入り込むように、敢えて入り口は開けたままにして起きました。
ドゥリーヨダナの命令で作られた宮殿は燃えやすい素材で出来ている事もあって、瞬く間に火は宮殿中に広がっていき、瓦礫は脱出用に作られたトンネルの入口を塞ぐように音を立てて崩れ落ちていきます。
そして、その火の手はニシャーダの女性とその家族、プローチャナを飲み込みました。
燃える宮殿は直ぐに大騒ぎとなり、町の住民が気づいた頃には宮殿はほぼ全壊している状態でした。
助けようにも宮殿内を取り囲む堀のせいで助けに行くことも出来ず、この火事を見て「この悲劇はドリタラーシュトラとその息子達の仕業に違いない!彼らは何の罪のないパーンダヴァ達をこんな酷い方法で殺したんだ!」と叫ぶ住民がいました。
そして宮殿が灰になっていく姿をみて人々は「王子達とその母親は既に建物諸共焼けてしまった」のだと、彼らの死に嘆き悲しみました。
一方、住民の悲しみとは裏腹にパーンドゥ一行はトンネル内をひたすら走っていました。
建物が倒壊する音に、いつこのトンネルが崩れてもおかしくない状況に焦りつつも、今まで気を張って生活していた事もあってか、一気に疲れが出始めてしまい早く走ることが出来ません。
そして、長いトンネルという事もあって疲れは徐々に増していくばかりで、瞼は次第に重くなっていき走るスピードもどんどん落ちていきます。
とうとう疲れはピークに達してしまい、クンティーをはじめとする兄弟達が次々と倒れていってしまうのです。
家族が次々と倒れだす危機的状況の中、ビーマが動き出します。
ビーマは何と、疲れ果てて動けない家族を全員抱えて走り出します。ビーマにとって5人を背負う事など苦ではなく、その自慢の怪力を遺憾なく発揮します。
そして風神の子の名に恥じぬ風のような速さで長いトンネルの中を駆け抜け、見事トンネルから脱出したのです。
家族はビーマに感謝しつつ、何とか屋外に出ることができた一行は、ガンジス河から燃える宮殿と炎で赤く燃える空を眺めていました。すると川から一艇の小舟が近づいていき、兄弟達の前に1人の船頭が降り立ちます。
一行は船頭に警戒しますが、その船頭はミエッチャ・バーシャを使い「ヴィドゥラ様に雇われここでずっとお待ちしておりました」というのです。
船頭の説明によると、ヴィドゥラはパーンダヴァ達がハスティナープラを旅立ってから直ぐに大量の賃金を船頭に渡して雇い、「いつ来るか分かりません、ですが五人の王子達とその母親が必ず此処に来ます。もし見つけたら彼らを乗せて対岸まで渡らせて欲しい」と頼まれたとの事でした。
そして、頼まれてから彼らがいつやって来ても良い様に一年間、毎日船を出して此処に通って確認しに来ていたのです。
屋敷が燃えていたので慌ててやってきたら、貴方達がいたので見つけられて良かったと満面の笑みで彼らに言います。
その話を聞いたユディシュティラは自分達の周りには敵が多い、けれどまだ自分達には味方がいるのだと再認識し、そして自分達の身を案じてくれているヴィドゥラに深く感謝しました。
パーンドゥ一行は船に乗り込み、一年間暮らしたヴァーラナーヴァタに別れを告げます。
対岸に着くと船頭は「ここから南へお進み下さい。そしてこれから数ヶ月の間は行き先も存在も隠すようにとの事でした」と彼らにヴィドゥラからの指示を伝え去っていきました。
パーンドゥ一行は船頭に感謝と別れの言葉を告げて、ヴィドゥラの指示通りに南へと歩を進める事にしました。
本当は直ぐにでも休みたかったのものの、ここはまだヴァーラナーヴァタの周辺にあたる場所である為、いつ何処でプローチャナやドゥリーヨダナが仕掛けたスパイに見つかるか分かりません。その為、早急に遠くへと進まなければならなかったからです。
疲労が残りつつも森の中へと消えていったパーンドゥ一行は、ここから数ヶ月にも及ぶ逃亡生活の幕を開けるのでした。
こうしてみると、カウラヴァがパーンダヴァを嫌っているのは国民の目から見ても明らかだったんですね。
特に今回調べてて、国民が如何にカウラヴァ側を信用していなかったのが顕著に現れているように感じました。
ヴァーラナーヴァタに行く時も「きっとドリタラーシュトラが裏工作をしているよ!」と言って引き止めたり、火事が起きても一部の住民から「これはドゥリーヨダナの仕業だ!」と言われる始末ですからね・・・。
まぁ、父・パーンドゥが残した功績もあると思いますが、それ程までにパーンダヴァ五兄弟が国民から好かれていたって事なんでしょうけど・・・。
さて、無事に燃える宮殿から脱出し、ドゥリーヨダナの陰謀から逃れる事ができたパーンドゥ一行ですが、これから彼らに何が待ち受けるのか・・・。
それは、また次回に語ろうと思います。
それでは(・ω・)ノシ
※脚注
- 元々「ダルマ」とはインド発祥の宗教において広く使われている色んな意味を持つ概念です。概ね「法律」「秩序」のニュアンスを持ち、神話では法や秩序などを司る神として登場する事が多いです。その為「マハーバーラタ」内では司法の神様として登場しています。 ↩︎
- 古代インドの叙事詩『マハーバーラタ』などに登場する、森や山岳地帯などの辺境の地に住む狩猟・漁業などを生業としていた先住民族の総称です。
カースト制度において外に置かれた不可触民や低い階級として扱われることが多く、都市社会や王族からは蔑視されることもあった存在で、前に登場したエーカラヴィヤもこの階級にあたります。
↩︎
※参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A9
https://ameblo.jp/indiastory-chieka/theme-10104959642.html
https://note.com/shantilifehiro/m/mf49ce1d60851
https://blog.yoga-kailas.com/%e3%80%8c%e3%83%89%e3%82%a5%e3%83%ab%e3%83%a8%e3%83%bc%e3%83%80%e3%83%8a%e3%81%ae%e7%ad%96%e7%95%a5%e3%80%8d/
