病院の採血時に、それは起きた。
私は定期採血のために、病院にある個室で腕を出していた。
左腕の上腕部分を看護師さんに診てもらい、採血用の針を刺してもらうつもりだったのである。
しかし、看護師さんが針を刺そうとしていた部分に肌荒れが見つかった。
すると看護師さんは「ここ、赤くなっていますけどアルコールはやめた方がいいですかね」と私に問いかけてきた。おそらく、腕の皮膚が荒れているのでアルコール消毒液を塗らない方がいいかどうかを聞いたのだと思う。いや、絶対にそうだろう。
しかし、そのときの私は「アルコールを飲みすぎている」と指摘されたのではないかと思って驚いた。
腕を見るだけで、アルコールの摂りすぎがわかる時代になったのか…医学の発達はすごいなあ…と感心しきった。
そして、決まりが悪くも思った。
私自身は大した量は飲んでいないつもりだが、「手相」ではなく「腕相」には「酒飲みの相」が出ているのである。
だから、少し照れながら「お酒は毎日…いや、頻繁に飲んでいますが、少し減らした方がいいでしょうか?」と看護師さんに問いかけた。
看護師さんはしばし無言の後、「いや、肌が赤くなっているようなのでアルコール消毒はしない方がいいですか?」と問いかけしてきた。
私はここでようやく、自分が盛大な勘違いをしていることに気がついた。
脳内には大きく「恥」の文字が浮かんでいる。「腕相」なんてあるわけないじゃないか…私の馬鹿野郎…!
精神世界は大荒れだったが、私は「す、すみません勘違いして。アルコール、大丈夫ですよ」と努めて明るく振舞った。看護師さんはニコリともせず、「そうですか」と言いながらテキパキと仕事をこなしていく。その間、私には「あ、あの、本当にすみません。勘違いしちゃって…」と再度謝るしかできることはなかった。
採血が終わって、個室を出た後も、私はモヤモヤしていた。自分が頻繁にお酒を飲むという、どうでもいい個人情報をよく知りもしない看護師さんに伝えてしまった事実に打ちひしがれていたのである。
この大恥を忘れないように、今後は生きていきたい。
しっかりと反省をしたいと思う。
なお、アルコールはほどほどにだが、これからも摂取していく。
これに関して反省はしない。
終わり
