猫耳少女は夢をみない。#22

#22 「王族と盗賊」

コレ・・・

コレは!!!!

ラナが輝に見せたものは、貝殻だった。
その貝殻には、深い思い入れがあった輝…
貝殻を見た瞬間、輝はボッーとし当時のことを思い出していた。

当時、青海輝・第2皇子 7歳

まだ、国は合併していなく2人の母親は既に亡くなっていた。
その時のギリタンラン国の姫の評判はよく
小さい息子の前でもその話をする貴族がたくさん寄ってきた。
未来の嫁の話や、パーティに出される豪華な食事狙いで来る貴族
小さい皇子に媚びを売り
自分たちの保険代わりに頭を下げてくる大人がいた。
そんなパーティに飽き飽きしていた輝・・・

・・・・つまらないパーティだな・・・・

会場のベランダに1人出て、ため息をつく
すると外から声がした。

おーーーーい、そんなところで何してるんだよ?

パーティだよ・・・。
食事は出るけど、
大人はみんな媚びを売ってくるばかりで
全然楽しくないよ

食べ物・・・・?
食べ物があるのかい??
少し恵んでくれないか?

いいよー。
そっちに持っていくね

青海輝は、国王に散歩してくると偽りそのときポケットに食料を詰め込んだ。
食料を落とさないようにゆっくりと歩いて執事達に見つからないよう
隠れながら・・・やっとの思いで外に出る。
するとさっきの少年が階段に座り込んでいた…

ごめん、遅くなった・・・

構わねーよ!
くいもん、恵んでくれる奴はいいやつだからさ!

そんなにガツガツしなくても
キミにあげたんだから誰も盗らないよ?

まともなくいもん、食べるのこれで3日ぶりでさー。
いやー助かったよ!!

3日??
3日もキミは、何も食べていなかったの??

ああ、俺のとーちゃんの職業柄
しかたねーんだけどな・・・。
ひどいときは人を殺してでも食べ物を盗んでる。
俺にはその道しか、ないのさ・・・

食べ物のために、人を殺すの?

ああ。
そういう家庭に生まれちまったから
しかたねーんだ・・

この時の輝は、自分が生まれた家庭が恵まれていたことを思い知る。
そして・・・話していく内に大知と仲良くなっていく

そういえば、お前名前は??

輝。青海輝・・・

へー、この国の皇子と同じ名前なんだな・・・

いや、同一人物だよ。

まじかよ!!
じゃあお前、その年で皇子なのか!!
いいなー、可愛いメイドさんに
豪華な食料に毎日囲われてるのかー・・
くーーー羨ましいぜっ!! 

そうでもないよ。
みんな、王族関係者と仲良くしていけば
自分の家庭が助かると思ってような
貴族しか寄ってこない。
そもそも、父さんには威厳がないから
良からぬ考えを持つ貴族に
鵜吞みにされないか怖いよ・・・

俺には、難しいことはよくわかんねーけど…
お前って凄いんだな!!
ちゃんとこの国のこと考えてるし尊敬するよ。
まだ、名前言ってなかったな・・・
俺の名前は大知・・深沢大知・・・。
お前とはこうして、
喋っちゃいけない身分なのかもしんねーけど・・・

身分とか関係なく、交友できる友達が欲しいよ・・。
みんな、そう言って畏まって行っちゃうんだ・・

じゃあさ、俺と友達になろ?
そしたら俺に遠慮することないだろ!!
その代わり俺もお前に遠慮しないけどな!!

うん!!

いま、輝が1番したいことってなに?

城(ココ)じゃないところに・・・・
行きたい・・・・

じゃ、決定―!
俺の散歩コースに案内してやるよ!!!
行こうぜ、輝!!

うん!!!大知!!

身分と関係なく普通に話せる友達ができたのは、深沢大知が初めてだった。
大知が輝に最初に案内した場所は波打ち際……
夜風が冷たく波も足元に寄ってきて、2人は楽しい余暇の時間を過ごした。

ボク、今日まで外に出たことなかったから・・・

え!今日が初めて?

第2皇子って、バレると騒ぎになるから
部屋でお稽古と仕事をしろって・・・

ひでー父親だな。
俺たちとは、やっぱ全然違うんだな・・・

兄さんは、公務で外に出てるけど
殆ど仕事しないし・・・
外に出る時間がボクは恋しかったんだ。
1人になって、何も考えずにいたいだけなのに・・・

自分の父親だし、思ったこと全部吐き出したらどうだ?
俺はとうちゃんに思ったこと 全部言ってるよ。
言われなきゃ気づかないこともあるしさ・・・・

大知・・・・・

他の父親とは違う、国王に逆らったり国王に自分の意見を言っていいものか
7歳にして思い悩んでいた輝だが大知に言われたことにより、吹っ切れる。

そうだよね、父さんだって同じ人間だもん!口論になるかもしれないけど
言わないとわからないことだってきっとあるよね・・・

これで、一歩前進だな。
そうだ!
ココ、俺よく来るからわかるんだけど・・
確か・・・この辺に・・・あった!!
コレ・・・輝にやるよ!!!!

貝殻・・・・・??

アコヤガイは、キラキラしてるから
夜に来ると見つけやすいんだ!
これとあとこれ・・・
ホタテガイ・・・これを輝にあげる!

ありがとう!大切にするね!!

まだまだ、貝は持ってるから・・・
次会う時があったら貝をまたプレゼントするよ!

その貝で大知だってことがわかる証だね♪

ハハハ・・・そういうことだな。

初めての友達にもらった初めてのプレゼントは
素敵なキラキラに光るアコヤガイとホタテガイ。
輝は大切にし、いまでも自分のお宝ケースに入れている。

じゃあ、俺そろそろ行くわ・・・

え、もう?

ああ。
盗賊は、とうちゃんの気まぐれで長く居座ったり……
次に移動したりするんだ。
途中でとうちゃんと合流する予定だから・・
そこまでは一緒に行こう・・

波から離れ、暗くて人気のいない夜道を歩くのも初めてだった輝・・・
輝の正体を知れば輝の装束品も大知の父親は奪うからと
見つからないようにして・・・輝を送った。

じゃあなー!
また、いつか・・・会おうな!

またねーーー!

これが、第2皇子・青海輝と盗賊の息子・深沢大知の初めての出会い
それ以来2人は会うことがなかった。
しかし、今回・・・・・

ラナが輝に見せた貝殻はホラガイ
間違いなく大知がこの国にいることを確認した輝

つづく

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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