※アイキャッチ&立ち絵GeminiAI
EP2
「邪魔しないでくれるかなあ」
「危ねえ!下がってろ」
その時、茶髪のガラの悪い青年が飛び出して何かを唱えて手を上にあげる。
青髪ウルフロングのゴシック私姿の美男は黑いモヤに向かってケリをいれる。
キラキラと白く輝く星が降り注ぎ、黒いモヤに命中していく。
普通の人には視えないはずのオーラがなぜか魔霧にははっきりと視えていた。
声にならないような悲鳴をあげて人の姿をした者は消えていく。
「ウソだろ……..」
あんな化け物を一瞬でやっつけるなんて一体何者だと思った。
しかし、目の前の建物を見つめると看板には『萌斗探偵事務所』とゴシック体で書いてあった。
「あ、あの。助けてくれてありがとうございました……..」
「君が無事で本当に良かった」
「災難だったな、もう大丈夫だぜ」
魔霧は一命を取り留められたが、なぜか違和感を覚えてしまう。
おかしい、助けてもらったはずなのに全然嬉しくない。
「あはは……..運が良かった。本当に、ラッキーだよ」
つい魔霧が声をあげて笑うと、二人が黙りだす。
きょとんとする彼女に、二人は背後からゆっくりささやく。
「【いいよな、お前は】。俺にはそこまで冷静になれないさ」
「【今、俺のこと笑ったよな?】 かわいいかよ」
二人の青年は魔霧を興味深そうに見つめて皮肉を言いながらもやさぐれていた。
褒められているのかディスっているのかどっちかにしろと心の中でキレる。
「あの、私はこれで失礼します。この御恩は忘れません」
魔霧がペコリとお辞儀する。
すると、ゴシックの服の男は呼び止めた。
「だめ。さっき君は、【アレ】視えたよね」
「は? 視えないですよ」
「でも声をかけられて少し驚いていたよね?」
「やめろ。悪いな……..兄貴、怒らせるとヤバいんだよ。気にしないでくれ」
「はあ……..」
ガラの悪い青年は、悪い人ではないと判断できる。
逆に兄呼ばわりされているこの青髪の青年は余裕としている。
(幻覚を視ているんだよ。気にしないほうがいいよね)
背後を振り替えようとした時。
そこにいたのは。
セーラー服を着た少女が宙に浮いていた。

「ウソだろ……..またか」
「【その子は大丈夫だよ】。俺に任せて。恒聖、彼女を頼む」
「わかったよ兄貴。ほら、来いよ」
これはまた何かに巻き込まれるような予感がする。
EP3
魔霧は混乱していた、どうしてこんなガラの悪い男に連れていかれているのか。
悪気なんてきっとないんだろうけれど今のままではパニックになって連行されるかも。
「本当に人使いが荒いんだよ……..【この子を逃がすな】、か」
「え? 私これからどうしたら」
「とりあえずここでじっとしていろ。何か訳アリだしな」
「はあ……..」
気を使っているんだろうなこの人は。
とりあえず初対面のまま名前も知らずに去るのも失礼なので自己紹介をした。
「……..私、幽刻魔霧。魔に霧と書いてマキ」
「そうか…….俺は、明日乃恒聖(アスノ・コウセイ)。これでも呪術師やってる」
恒聖と呼ばれた青年は両手を天井に向けてあげると、キラキラと輝く白い光が現れた。
なるほど、先程の黑いモヤをなんとかした時に助けてくれたのは呪術だったのか。
魔霧は霊感がなくても感じることはできるが、根が優しすぎて怪異に好かれやすいのはキズだが。
「意外と簡単な仕事じゃないんだぜこれが。お前も少しは分かっただろ」
「星を操る? みたいなことを言っていたような。もしかして貴方はすごい専門家なのでは?」
「術式や領域は何時間もかけて修行しないとうまくいかない。俺の場合は気合でなんとかなったさ」
書斎のリビングのような場所につくと、魔霧は思わず声をあげた。
オシャレなテーブルに置かれた本棚には多くの書物が置かれている。
ソファーが大きいのも一つだった。しかし、雰囲気で言うなら。
「……..幽霊屋敷かよ」
「ま、そう思うのも無理はないか」
「ただいまー。うんうん酷い言われようだね」
妖艶な声でビクッとジャンプしてしまった魔霧。
振り返ると、青髪のウルフカットの男が戻ってきた。
「改めて。僕は、萌斗玲(モエト・レイ)。これでも立派な探偵さ」
「……..どうも。幽刻魔霧です」
「助かったよ、兄貴。約束通り彼女を守っていた」
うんうんとニコニコしながらうなずく玲。
だが、魔霧はこの男には絶対には逆らってはいけないオーラを感じてしまい後ずさりする。
恒聖はソファーに腰掛けて大きな溜息をつく。
「……..それで? これから私をどうするつもりなんですか」
「かわいいね。そんなの一つに決まっているじゃないか。なぁ、弟?」
舌打ちをする恒聖は呆れた表情で魔霧を睨みつけていた。
玲はそんなこともお構いなしに彼女に甘くささやいた。
「跪けよ、ここで働いてほしい。君はとても特別な存在だ」
「ええっ!? 」
この状況でここで働くなんて選択肢をNOにする覚悟でいたのに。
顔をそらすと鏡に目があった。
しかし、玲の姿は映っていない。
映っているのは魔霧と恒聖だけだった。
違和感に気づく、呪術師と探偵の苗字が違う。
魔霧は話題を変えるために質問した。
「あの。さっきから二人は兄や弟って言っているけれど。貴方たちは何者なんですか?」
すると、恒聖が立ち上がり玲の表情が暗くなる。
殺気迫る緊張感に魔霧は顔を青ざめた。
きっかけは、スマホから流れている音楽だった。
(ジャズ?)
「……..まさか」
絶対に考えたくはないけど本当に玲は黑いモヤをなんとかしたのだろうか。
「なあ、魔霧。【俺と一緒に地獄に堕ちようぜ】」
「面白そうだから契約したんだ♬ 僕の弟になったんだ」
(いわゆる疑似兄弟って奴か。事情はあんまり聞かない方がよさそう)

直観だが二人にとって地雷なのは『家族関係』なのだろう。
「だから。俺にのまれろよ」
「悔しいけど、お前からは光を感じたんだ。その幸福、俺にもわけてほしい」
痛いヤツだ、変人とまでは言わないが言葉の重みに力を感じる。
魔霧は窓際を見つめて現実逃避した。
〔続く〕
