※アイキャッチ画像『GeminiAI』
EP4
「……..二人が何かで困っていることは伝わりましたよ」
私以外でも人はいるのに、と心の中で思ったけれど。
この探偵事務所は、そんじょそこらの探偵事務所とは何かが違うと感じた。
きっと何かで困っていてそれでも人を誘ってみたけれど難しかったから勧誘しなかった。
どうせ住む場所なんてないんだから、私には。
「わかりました。貴方たちの【兄弟ごっこ】に付き合ってあげます」
「かわいい」
「後悔することになるけどな」
「今更、私が帰ったところで玲さんは逃がす気、ないでしょ」
私の思う居場所はもしかしたらここでもいいのかもしれない。
疑似兄弟に見つかって獲物にされる未来なんてまっぴらごめんだ。
それに、私は変わらなければいけないと思っていた。
呪術師がいるなら、悪魔がいる。
私は能力はないけれど、導く存在には憧れている。
かっこいい表現もできないし、従妹みたいに女子らしくもない。
だけど。
「……..その代わり、一つ条件があります」
「条件?」
「いいよ。何かな」
負けず嫌いな性格で本当は自分の気持ちに素直になれない。
だけど私の周りで困っている人がいるなら話は別だ。
従妹にすすめられた女児向けアニメを観て思った。
キラキラした主人公にはなれないけれど、望むなら自由を求める主人公になりたい。
モブが悪いとは言ってない、その人の個性を尊重しているから。
「……..チームを組みませんか。依頼や趣味も全力で楽しみたいので」
「!?」
「組織を作るには個人の力だけでは限界があると。助け合いの精神でいきたいの」
呪術師と悪魔がいるならここをほおってはおけない。
甘い香りと危険な血の匂いが私の周りを取り繕う。
「好きにしろ」
「とっても真面目なんだね。ますます味わいたくなっちゃった」
舌なめずりをする玲に私はキッ、と睨み返す。
「なんてね」
「ぬりぃんだよ。一度決めたことにウソをつくな。俺にのまれろよ?」
「魔霧とか言ったな。これから本当に忙しくなるぞ」
恒聖は鏡を見つめてズボンのポケットから何か取り出す。
一枚のカードだった。
「別にウソじゃないから……..何これ?」
「名刺、まだ完成段階じゃねえけど。………デザインは嫌いか?」
シルバーチェーンとゴシックホラーテイストのクールなデザイン。
私は思わずぎこちない笑みを浮かべる。
「大好きよ。私、一生懸命に無理なく頑張るから」
これは後からわかった話なのだけれど。
玲は、インキュバスという夢魔。
今はこんなカッコイイ美男だけど、外に出た瞬間【耐性のない女の子が魅了されてしまう】らしい。
驚いたけれど今になっては慣れっこ。
だって私には効かないから。
そして今に至る。
Epilogue
「え? なんなのこの状況」
「もう忘れたのか? 呪詛師の学校に通っていた頃はこんな出来事では済まなかったぞ」
「俺は可愛い女の子の悲しむ姿なんて見たくないんだ。だから、もし失敗したらわかってるよね?」
「いや。ここで、はいそうですかーなんて返事したら面白くないから、責任はとってくださいよ」
「あのなあ。別にお前が呪術師になれとは言ってねえよ。けど……..助かってる」
「素直になれよ」
「…….うるせぇ」
魔霧、恒聖、玲はさっそく依頼を受けていた。
あれから一週間が経って彼女に非日常が加わった。
チームを組めと言われて結局どうなったのかと思ったら意外とあっさりOKしてくれた。
だが彼らはいわゆる『自己責任系ユニット』と言われてR指定ギリギリのラインの出来事を扱う。
そんな仕事を始めたが、魔霧はいまだにこの空気感になれていなかった。
ミームまみれで残酷で、それでも今を歩み続けている。
そこらのキラキラした青春を送る学生とは違う世界を生きる。
だけど悪いチームではない。
「どこぞのボンボンと一緒にすんな。これだから金持ちは嫌いなんだよ」
「しょうがないだろ。私だって依頼人の顔を見てないし。報酬金には目が無いクセに」
「けっ。じゃああれか? もし相手が怪人で混沌を貫く依頼を引き受けたら」
「俺、それ知ってるよ。たしか、カッコイイ俳優が必死になってカードを集めている……..」
「あーあーっ!何も聞こえないなあー!私は穏便に済ませたいの。怪異で勘弁して」
「ナズェミテルンディス⁉ フジャケルナ!モアイ! オデノカラダハボドボドダ!」
「大丈夫。だって僕、最強だから」
やっぱり心配になってきて胃が痛くなってきた、魔霧の青ざめた表情。
今まで真面目に歩んできたから冗談が通じない脳になっているためパニックになっている。
恒聖と玲はそれぞれ武器を持ちながら狂気に満ちた満面の笑みで見えざる者と対抗していた。
「最初から最後までクライマックスだぜぇ!」
「領域展開。ずーっと俺と一緒にいようね♡」
「ああっ、もう!誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
声にならない悲鳴をあげる魔霧に行動がうるさい二人にキレる。
ええそうですとも、こちらのほおっておけない三人が結成したチームは。
ギリギリR指定の流血やセクシーロマンスな怪事件を取り扱う自己責任系ユニット
疑似兄弟に見つかり、苦労しながら活動する青年。
隠し事はナシ、ありのままの自分をさらけ出せ。
心ここにあらず。報告書を提出するまでが遠足。
依頼なんてそんな簡単に終わりはしない。迷い込んだら助けを呼んで。
それが。
「KNOT✜Chain」

あとがき
さて、筆者の物語はここでおしまい。
楽しんでいただけたかしら?司書のお姉さんです。
実はこの物語を読むにあたって筆者の苦労と心理的描写が少し暗い感じなの。
え?なんかネタが渋滞していて話についていけなかったですって?
事実も事実、それくらい筆者は他人に心を開いて影響を受けまくったのね。
彼ら(恒聖、玲)が語った闇の言葉の意味はこれに毒されているわ。
URL:ミーム1〔恒聖〕https://www.youtube.com/watch?v=AnKWY5AHf5g
URL:ミーム2(玲) https://www.youtube.com/shorts/6ImI4mNKucs
URL:ミーム3恒聖 https://www.youtube.com/watch?v=ApjIVi-HETg
URL:ミーム4玲 https://www.youtube.com/watch?v=cZevD8h6NlQ
どこで話していたか、最初から読んで確かめてみてね。
ちなみに、筆者はこの時二人をどんな風に感じ取っていたでしょうか。
とういうわけで、時間なのでここまで。
三人の活躍にこうご期待。
『自分の意志で未来を摑みとる。何でもは知らないわよ、知っていることだけ』
『最後に一つだけ教えてやる、こんなことしておいて。人の心とかないんか?』
『言ったはずだよな?黙って従え。ぬりぃんだよ、さっきから。俺がこの状況を変えてやる』
この後、司書がどこに行ったか誰も知らないようです。
