「おじさんオススメ!あんまり知名度がなくて最近の子は知らないだろうけど時代に埋もれさせるのは惜しい00年代中盤アニソンセレクション10!」
緋色の空
being
クロスハート
光の螺旋律
little primrose
夢想歌
アイスキャンディー
idea
暁に咲く詩
想いを奏でて
以上です!ありがとうございました!(完)
で終われるわけはないので続けると、今日はオタクの昔話をします。
とある研究によると、「人間は自分が青春時代」に見聞きしたものを最も好むらしい。
ということは、ある程度以上の世代の人にとって好きな物はだいぶ過去のものということになり、したがってこういう言葉が出てくる。
「昔は良かった、僕らの若いころは――」
である。
これがまぁ歓迎されない。うざったがられること確定だ。偉い人が言おうものなら場の空気は激萎えである。こんな人たちのことを世間はこう呼ぶ。
時代遅れ、懐古厨……そして老害である。
害--ショックである。なんという無神経な言葉だろう。
少しばかり前の世代の人に言うに事欠いて老害とは。
世代をひとくくりにして悪口を言うなんて人としてどうかと思う。
だから最近の若者はダメなんだ。
そんな堂々たる老害として最近思うのは、
平成中期のアニメ、アニソン最高だったなあ、ということである。
なお、ここでいう「アニメ」とは深夜アニメのことを指し、は16~19時くらいの少年漫画・キッズ系アニメは除外する(ドラえもんとかハガレンとか遊戯王とか)
オタクといえば深夜アニメだからだ。
平成中期、それはアニメがマジでコアなオタク向けだった時代。
平成中期と言われても過去過ぎてピンと来ないかもしれない。地デジ化、mixi、TSUTAYAにピンときたら友達になろう。
このころはアニメの地位が低くて、僕の知っているアニメイトはめちゃくちゃ薄暗かった。
今はおしゃれなビルの中に入っていて照明も明るく店内は清掃も行き届き、学生服やランドセル姿のレディスアンドジェントルメンが集まって陽陽しく賑わっているが、あのころでは到底想像できない風景だ。
僕がはじめて行ったアニメイトは雑居ビルの社員食堂の奥の一角にひっそりとあって、店内は薄暗いし埃臭かったし、いわゆるオタクさんみたいな人が蠢いている。無愛想な店員さんからテイルズオブエターニアのカードを買ったのが僕の初メイトである。いろんな意味で濃密な空気が流れていた。
僕が深夜アニメを初めて視たのがこのころで、夜なのにテレビをつけたらアニメをやっている、しかも夕方やってるような誰もが知っている人気少年漫画アニメとはタイプが全然違う、見たことのないような雰囲気の作品が多くて興味をそそられた。
なお、初めて見たアニメは「シスタープリンセス」。ある日突然存在を知らされた12人の妹たちと島で一緒に暮らすというパンチのきいた設定の作品である。
思い出補正もあるのかもしれないが、このころの作品には独特な世界観や細部の細やかさがあったように思う。
派手な作画やCGはないものの、手描きのセル画は塗りが豊かだし、演出やテンポも作品ごとの個性が今よりももっと多彩。現代と違って毎日アニメがあるわけではなかったが、その分作品固有の匂いみたいなものが濃密だった。
もちろん、近年のアニメは素晴らしい。配信サービスの充実もあって今や日本のアニメは名実ともに世界で最も人気なコンテンツの一つになった。海外での売り上げがウン兆円を超えたとか。実にエキゾチックジャパン。
僕もいまだに毎クール欠かさず10本くらい視聴し続けているし、気に入った作品も数多い。
ただ僕は平静中期のアニメの、ジャンルの黎明期でいろいろと試行錯誤していたの頃が懐かしいとふと思ってしまうのだ。
油濃いめの家系とんこつ醤油ラーメン店が、いつのまにかカップルでも楽しめるオシャレで上品なフレンチ風塩ラーメンに代わってしまったような感じだ。
焼豚の代わりに鳥のササミかなんかが入っているのだろう。ブタの仲間としてはたまにはかつてのように油マシマシ深夜アニメを見てみたいのだ。
令和アニソンと平成アニソン、何が違うのか、作り方、ファン層の違い―
アニソンもだいぶ様変わりしてしまった。
というかアニソンが最も強く時代の変化に影響を受けているのではないか。今や深夜アニメの曲も一流アーティストが担当する時代。YOASOBIとか米津やAdoが歌うアニメとのタイアップ曲がアメリカのビルボードで1位をとったりするくらいワールド級にヒットしているし、なんとあのミスチルやスピッツ、サザンが夕方のアニメではなく深夜アニメの曲を歌うようになった。
素晴らしいことだと思う。曲のクオリティも高い。
でも、物足りない。かつてのアニソンにあった独特の風味が感じられないのだ。けしてメジャーなJPOPではないが、軽やかで起伏のあるメロディ、世界観が濃厚な歌詞の魅力にハマったら抜け出せない。
今のアニメ主題歌はただのクオリティが素晴らしい名曲であって、あの頃TSUTAYAの隅っこのコーナーに雑においてあった(店舗によります)アニソンとは何かが違う。
YouTubeの平成アニソン動画にはあの頃を懐かしむ俺たちが一杯コメントしている。
俺たちは時代の残党なのだ。新時代に俺の乗り込む船はないのかもしれない。所詮先の時代の老害だから。
だがそれでも声を上げていく。あの頃のアニソンはよかった。
ここで音楽理論に基づいて具体的に何がすごいか伝えたいところなのだが僕には音楽を語る知識がない。なんせリコーダーで一番下の穴を抑えられずに気の抜けた音を出し、楽譜が読めないからカタカナでドレミとルビを振ってしのいでいたほどのフォルテッシモ音痴である。だから「オタク臭さ」と言ってごまかしているのだが、これでは良い所が伝わらない。むしろ悪口になっているような気さえする。こんなとき、どんな言葉を使えばいいかわからないの。
というわけでAIに聞いてみた。最近のチャットAIはそりゃあ便利で、ちょっとした疑問なら一発で解決だ。知識のない人類を補完してくれる。しかも基本的に無料だし登録したりDLしたりしなくてもいいという太っ腹。サービスサービスぅ。
お題は「平成と令和のアニソンの違いは?」である
| 観点 | 平成アニソン(1989〜2019) | 令和アニソン(2019〜) |
|---|---|---|
| メロディーライン | ・広い音域(1オクターブ以上) ・大きな跳躍進行 ・“泣き”のある旋律(非和声音多用) ・A→B→サビのドラマ性 | ・リズム重視で細かく刻むフロウ ・語り/ラップ的歌い回し ・メロディーは意図的に簡素化 ・サビとの対比は弱め |
| 編曲(アレンジ) | ・ロックバンド、J-POP、ギターポップ中心 ・ストリングスやシンセで壮大 ・転調・間奏ソロなど王道構成 | ・EDM/HYPERPOP/ボカロ系が主流 ・ループ進行・短尺構成 ・SNS映えする音響処理 |
| 歌唱スタイル | ・高音を伸ばすクリアボイス ・ロングトーン・ビブラート多用 ・ライブ映えを想定 | ・語り気味でニュアンス重視 ・早口・ボカロ的リズム ・地声寄りの軽めの発声 |
| 曲構造 | ・Aメロ→Bメロ→サビの王道 ・後半で転調することも多い | ・展開が短く凝縮 ・ループ構造が増加 |
| 世界観・役割 | ・アニメ作品のドラマ性を強調 ・“主題歌らしさ”を求める | ・アーティスト性が前面に ・SNSで切り抜き映えするサウンド |
| 影響源 | ・J-POP、ロック、歌謡曲 | ・ボカロ、ネット音楽、EDM、HIPHOP |
かがくのちからってすげー。
圧倒的速度で的を射た情報を出してくる。
赤字にしている部分は平成アニソンの中でも僕が特に好きな部分で、要約すると
「大きな跳躍のある王道のメロディーラインで、アニメ作品のドラマ性や世界観を色濃く反映した楽曲」
が平成アニソンと言える。
中でも2000年代前半~2009年くらいまでのアニソンがいい。僕も含めて一部のオタクがアニメ黄金期と称する時代。
オタク人口も着実に増え、クオリティの高いアニメやアニソンが増えて人気に勢いがついてきたが、まだ一般人社会とは明確に世界が違っていて、たとえCDの売り上げが良くても某音楽番組では独自の調査という名目でランキングからはじかれていた時代。
日本だけでなく海外の老GAYズもこのころのアニメやアニソンが懐かしいと言っていた。
有名どころで言うと「涼宮ハルヒの憂鬱(ハレ晴れユカイ)」とか「らき☆すた(もってけセーラー服)」とか「CLANNAD(時を刻む唄)」とか「創聖のアクエリオン」などなど。
もっと前だとそもそも深夜アニメ自体が非常に少なかったし、さらにさかのぼるとタッチとかヤマトとかガンダムとかセーラームーンとかで、その辺はオタクがどうのというより国民的な文化になってくるので話は別である。
そんなわけで冒頭の10曲に戻るが、基準としてはオタクじゃない人でも知っているような語り継がれるような有名曲ではなく、今でも続編が作られている作品の主題歌でもないが、時折無性に聞きたくなる曲をチョイスした。
ちょっとマイナーだけど、クオリティ間違いなし、平成アニソン11選
緋色の空
歌手・川田まみ 作品名・灼眼のシャナ
本格的にアニメにハマった時期の僕に強烈なインパクトを残した、バトル系ライトノベル史上に残る名作
「灼眼のシャナ」
そのアニメ初代OP曲。風が抜けるように爽やかなメロディーと、力強く高らかな歌声、テクノ調のサウンドを軸に、サビで一気に盛り上がる構成が実に気持ちよい。本作は戦闘の迫力や主人公にまつわる謎だけでなく、次第に心を許していくシャナの可愛らしさや、彼女らを取り巻く青春ラブコメも魅力の一つ。
ヒロインであるシャナのCVは釘宮理恵。中毒者を生み出す釘宮ボイスの中でも屈指の人気を誇る。
being
歌手・KOTOKO 作品名・灼眼のシャナ
灼眼のシャナ第二期のOP。イントロからひたすらにかっこいい。オシャレ。
透明感ある歌声とドラマチックなメロディが印象的。切なさと希望が入り混じった歌詞が主人公たちの強い意志を感じさせる名曲。1期のOPが物語が幕を開ける高揚感だとしたら2期のこれはよりドラマチックになっていくストーリーを表している感じ。
KOTOKOも一期の川田まみも「I’ve」という音楽ユニットに所属していて、僕はそのテクノチックな曲調が大好きです。
光の螺旋律
歌手・kukui 作品名・ローゼンメイデン・トロイメント
天才人形師「お父様」によって作られ、お父様の本当の娘「アリス」になるために戦うドールたちを描いた傑作アニメ、ローゼンメイデンの2期、ローゼンメイデン・トロイメントのED曲。まるで聖歌のように静謐でクラシカルな響きと幻想的な旋律が重なり合う美しいゴシックポップ。西洋人形が主人公の世界観にあまりにもマッチしている。
OPの聖少女領域(ARIPROJECT)も名曲だが、物語の終わりにこの曲で〆るのがあまりにも美しいためこちらをチョイス。ドールの一人、「水銀燈」の「乳酸菌とってるぅ?」はネットミームとしても有名。
little primrose
歌手・kukui 作品名・鍵姫物語~永久アリス輪舞~
kukuiの優しい歌声が奏でる可憐で繊細なメロディー。本作自体は、まだ深夜アニメの存在を知ったばっかりだったこともあって実は本編を見たことがほとんどないのだが、たまたま見たシーンが不思議に魅力的で余計に強い印象が残っている。またこのタイトルがいいよね。文字列がいかにも深夜アニメ。
「かぎひめものがたり えいきゅうありすろんど」声に出して読みたい日本語である。
モチーフになった不思議の国のアリスのように幻想的かつポップなバラード。ラスサビの畳みかけがとにかく気持ちいい。kukuiさんはとにかく歌声が透明で綺麗です。
夢想歌
歌手・suara 作品名・うたわれるもの
古代日本やアイヌ文化を彷彿とさせる異世界を舞台にしたアニメの主題歌。民族音楽的かつキャッチーで疾走感のあるメロディは、数あるアニメソングの中でもかなり独特だがめちゃくちゃ聞きやすくて気持ちいい。最近は転生モノとか異世界モノが多いが、実はこのアニメがやってた頃もそういう作品はちらほらあった。今ではすっかりポピュラーなものになってスナック感覚で異世界が出てくるが、今と違ってよりファンタジー色がより濃いイメージだ。
アイスキャンディー
歌手・MAKO 作品名・かみちゅ!
いかにも夏!って感じがたまらなく好き。
「かみちゅ!」は急な坂と入り組んだ小道が美しい町、尾道を舞台に、ある日「かみさま」になっちゃった主人公が、色々な人や精霊みたいなものと関わったり恋をしたりと大忙しな青春コメディアニメ。
そんな作品の雰囲気にピッタリな、軽やかなリズムとキュートな歌詞が楽しいポップソング。まるで夏の風のような爽やかさが聞いていてめちゃくちゃ心地いい。まさに夏に聞きたい一曲。
idea
歌手・eufonius 作品名・ノエイン もうひとりの君へ
壮大な世界観のオリジナルアニメの主題歌。透明感のあるボーカルと、繊細で広がりのあるサウンドが、時空や未来をめぐる物語の幻想的な雰囲気が見事に表現している。ラスサビの盛り上がりが素晴らしい。随所に「eufonius語=日本語でも英語でもない意味を持たない言葉」が混ざっているのも特徴。
小学六年生の主人公と幼馴染の少女が、未来からやってきた戦士たちと出会う。崩壊した世界を救うカギは、そして謎の戦士たちの正体は……骨太なストーリーと世界観で今でも根強いファンがいる名作。聖地は北海道の函館。
暁に咲く詩
歌手・coorie 作品名・ダ.カーポSS
当時大人気だったギャルゲー、ダ・カーポシリーズのアニメ第二期のED。力強さと優しさが同居するメロディが作風と実によく合っている名曲。
一年中枯れない桜が咲き続ける初音島というちょっと不思議でロケーション抜群の島が舞台で、個性豊かなヒロイン
が大勢出てくる。もちろんみんな主人公のことが好き。
今は少なくなったまっすぐな王道ギャルゲーラブコメの走りみたいな作品。かわいいヒロイン達と送る楽しい日常と、ちょっと不思議な要素もあるストーリー。オタクはこういうアニメをもっと見たいんだ。
クロス・ハート
歌手・coorie 作品名・京四郎と永遠の空
これまた見てないけど曲だけ聞いてめちゃくちゃ好みだったのでよく覚えている。
ポップで明るいメロディに軽快なデジタルサウンドに透明感のあるボーカルが重なる、聞いていてめちゃくちゃ気持ちいい一曲。ラスサビの盛り上がりが特に好きで、僕は免許合宿で落ち込んだ時ずっとこれを聞いていました。
これまた本編は見ていないのだが、学園ラブストーリーに巨大ロボットと神秘的な世界観が混ざった個性的なアニメだったらしい。これと「鍵姫物語」はストーリーを知らなくても何となく世界観がすごくクセになる感じがあったのだがどちらも同じ作者(介錯)である。さもありなん。
想いを奏でて
歌手・savage genius 作品名・うた∽かた
夏の鎌倉を舞台にした、少女たちの美しくも切ないひと夏の物語「うた∽かた」
風景の美しさや、魅力的なヒロインとの百合を思わせる関係性、と、実はシリアスな設定やストーリーは、放送から20年(!)たっても色褪せない思い出。
そのOPであるこの曲は、数あるアニソンの中でも個人的にはトップクラスで好き。
イントロから響くクリアなギターサウンドと、どこか切なさを帯びたメロディが特徴的で、夏の爽やかさと、物語が進むにつれて深まるシリアスな展開を予感させる「胸に迫る響き」がある。
あと、一部では少し有名かもしれないが、こちらの曲もリストアップして〆させていただこう。
ハッピーマテリアル
歌手・麻帆良学園中等部2-A(キャラの声優たち) 作品名・魔法先生ネギま
古のオタクを象徴する曲。まだオタクアニソンがオタクアニソンで、インターネットが今よりアングラだった時代、かの「2ちゃんねらー」たちによって「オリコン1位にしてやろうぜ!」という祭り=悪ふざけが起きた結果、MステやCDTVでランクインして出演者や一般人の皆様を凍り付かせた伝説の曲である。
ネット住人の悪ノリはクソだが、曲としてのクオリティ自体は非常に高く、最高にキャッチーで多幸感あふれるポップチューン。2-A30人を出席番号順でユニット分けし、メロディーラインの異なるバージョンが6つ以上用意されていて、聞き比べるのがめちゃくちゃ楽しい。
そんな感じでなんとなく思いついた曲を並べたに過ぎないが、無意識化の選考基準をいくつか考えてみると、
「近年では無いタイプの曲調で」「今でも続編があったり、一般人でも知っているような超有名作とは違う」作品から選出する結果となった。
好きなアニメが鬼滅の刃とかチェンソーマンとか言える今とは違って、あの頃は普通の人も知っているアニメが極めて少なかった。どんなアニメが好き?と言われて「ローゼンメイデン・トロイメント」とか「鍵姫物語永久アリス輪舞」とか言わなくちゃいけないハードルの高さは現在の非ではない。
その分オタクは現在よりずっとディープな存在だった。それに比べたら僕はまだオタクなんてとても言えないレベルで、今日挙げた作品の中でちゃんとみていたのは「かみちゅ!」と「ローゼンメイデン・トロイメント」「シャナ」だけだ。あとの作品は見たり見なかったり。
仕方ないあのころは地上波しかなくて、今みたいにネットで見、見直したりできなかったし、放送時間も結構ブレブレ、しかも他番組の延長も頻繁にあってリアルタイムで追いかけるのが難しい時代だったから。
僕らからしたらちょっと数か月前に聞いたばかりのような気がしてしまうが、20年といえば赤ん坊が成人式を迎えるくらいの途方もない時間である。文化が様変わりしても仕方がない。
昔はよかったと愚痴るだけじゃつまらない。でも、あの頃の空気を懐かしむ心も大切に。
そんな「変われる強さ、変わらぬ思い(テイルズオブエターニア・2000年発売)」を胸に、オタクは今日も老いていく。
